2020年6月8日 更新

治りにくい背中のブツブツ、実はニキビじゃないのかも!?

ほんのり汗ばむ季節。薄着になろうとして気付くのが、背中や首、デコルテにできたブツブツ。「毎日お風呂に入っているのになんで?」と疑問に思いながら、ニキビ治療薬を塗ってもなかなか良くならない……。実はそれ、ニキビではなく別の症状かもしれません。

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ニキビ治療薬には殺菌成分が入っている

ニキビの正式名称は「尋常性ざ瘡」。文字だけ見るとなんだか怖いですが、
尋常(じん じょう)
特に変わった点のない・こと(さま)。あたりまえ。並み。普通。
via 三省堂『大辞林 第三版』
ということで、ありふれた症状です。日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡治療ガイドライン2017」でも、「90%以上の人が経験する疾患」とされています。

ニキビの原因といわれるものは、ホルモンバランスや皮膚のターンオーバーの乱れ、過剰な皮脂分泌、ストレス、食生活の乱れ、生活習慣、保湿不足……などさまざま。これらがきっかけとなり、汚れや角質で毛穴が詰まってしまうと、皮脂腺からの分泌物が外に出られず、毛穴の中に充満してしまいます。このたまった脂肪が外から白く見えているのが、いわゆる<白ニキビ>です。
 (3660)

ここで登場するのが、ニキビを悪化させる要素のひとつ、アクネ菌。ふだんは皮膚の上で皮脂を食べている常在菌ですが、充満した皮脂を栄養にして、毛穴の中で過剰に増えてしまいます。すると免疫反応によって炎症が起こり、赤くなってしまうのです。これがいわゆる<赤ニキビ>

このように、ニキビの悪化にはアクネ菌が関係しています。そのため、ドラッグストアで売っている塗るタイプのニキビ治療薬には、毛穴の出口を開く成分や炎症を抑える成分、そして、アクネ菌の増殖を抑える殺菌成分などが配合されているのです。

治らない背中ニキビの原因は「真菌」かも?

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背中は自分で直接見ることができないため、シャンプーやボディーソープのすすぎが不十分になりがち。また、皮脂腺も多く存在するため、汚れで毛穴が詰まるとニキビができやすい部位です。ところが、ニキビ治療薬を塗っても背中のブツブツが良くならないようなら、それはニキビではなく「毛包炎(毛嚢炎)」かもしれません。

毛包炎とは、常在菌の黄色ブドウ球菌やマラセチアが、毛穴から入り込んで繁殖することで起こる炎症のこと。なお厄介なことに、マラセチアは細菌ではなく真菌なんです。

細菌と真菌。名前は似ていますが、実はまったく別のもの。
 (3665)

細菌は、細胞のなかにDNAがそのまま入った、シンプルな構造の生物。アクネ菌や黄色ブドウ球菌は細菌です。一方、真菌は、細胞のなかに<核>があり、そのなかにDNAが格納されています。さらに、ミトコンドリアや小胞体などの器官も備えた、ヒトの細胞にも似た複雑な構造の生物なのです。なお、マラセチアのほか、水虫の原因となる白癬菌や、カビ、キノコなども真菌です。

全く構造の違う生物ですから、効果を発揮する薬も違います。細菌に効くのは殺菌成分抗菌薬(抗生物質)、真菌に効くのは抗真菌成分。つまり、市販のニキビ治療薬を塗っても効果が感じられないようなら、ブツブツの原因は真菌(マラセチア)である可能性もあるのです。

素人にはニキビとの見分けが付きにくい

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マラセチア毛包炎は背中だけでなく、首やデコルテなどにもよく起こりますが、素人目にはニキビと区別がつきにくいもの。また、ニキビと混在していることもあります。

ドラッグストアには、抗生物質と抗真菌成分を配合した皮膚用薬や、殺菌成分と抗真菌成分を配合した薬用抗菌石鹸などもあります。ただし、ブツブツが広範囲にわたるときや、炎症がひどいとき、ニキビ治療薬を塗っていたら症状が悪化したときなどは、別の皮膚疾患や、内科系の疾患が原因である可能性も。早めに皮膚科を受診しましょう。
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