2020年11月26日 更新

【危険? 安全?】豆腐の凝固剤って何よ!?

ドラッグストアやスーパーで「1丁10数円」なんて値段で売られていることもある豆腐。豆乳を固めるときにはもれなく「凝固剤」が使われています。健康にいいとされ、離乳食などにも使われる豆腐ですが、凝固剤は、体に害はないのでしょうか。そもそも凝固剤とは何なのでしょうか。

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「凝固剤」の正体はこれだ!

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豆腐の凝固剤というのは、その製造過程において、豆乳(大豆たんぱく質)を固める際に使われる食品添加物のこと。日本では、以下の6種類が食品衛生法で規定されています。
・塩化カルシウム
塩化マグネシウム
・グルコノデルタラクトン
・硫酸カルシウム
・硫酸マグネシウム
粗製海水塩化マグネシウム
木綿でも絹ごしでも充填でも、その製法にかかわらず、これらのいずれかが使われています。なお、「おから」は大豆から豆乳を絞ったあとの残りかすのことで、凝固剤は関係ありません。

「“にがり”で豆乳を固める」と聞いたことがある人もいるでしょうが、それは半分正解。にがり(天然にがり)とは、海水から塩を作る際にできる苦い液体のことで、昔から豆腐作りに使われているもの。にがりの主成分が塩化マグネシウムなので、この6種類のうち、「塩化マグネシウム」「粗製海水塩化マグネシウム」の2つについては、「にがり」と表示していいとされています。

「粗製海水塩化マグネシウム」とは、海水から塩化ナトリウム(食塩)と塩化カリウムを取り除いたもので、別名「塩化マグネシウム含有物」とも呼ばれます。「粗製」つまり精製度が粗いので、塩化マグネシウム以外にもカルシウムやカリウムなど、さまざまな成分が含まれています。

また、「グルコノデルタラクトン」というのは、天然にも存在する成分で、ハチミツに含まれる有機酸の約70%を占めています。ハチミツ以外ではローヤルゼリー、米、しいたけ等、天然の食品や酢、ワイン、味噌、醤油等の発酵食品などにも含まれています。豆乳に投入すると、グルコン酸に変化して徐々に豆乳を固めます。

なお、「塩化マグネシウム」や「粗製海水塩化マグネシウム」を使用している豆腐のパッケージに「にがり」と表示する場合は、これらの成分名の後ろなどに付加的に表示することとされています。
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「にがり」と書いてあるものがいいのか!?

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一般的に、「にがり」にはさまざまなミネラルが含まれているため、「体にいい」といわれているのはご存知かと思います。また、昔から使われているものでもあるため、「じゃあ“にがり”って書いてある豆腐がいいよね」となりそうですが、実際はどうなのでしょうか。

原材料名に「にがり」と表記できる塩化マグネシウムと、粗製海水塩化マグネシウムの規格基準を比べてみましょう。
厚生労働省「『食品、添加物等の規格基準』第2 添加物」...

厚生労働省「『食品、添加物等の規格基準』第2 添加物」より抜粋して作成

塩化マグネシウムの基準値を見てみると、主成分以外の“不純物”の入る余地はほとんどなさそうです。

一方、粗製海水塩化マグネシウムは、「粗製」というだけあって基準が緩いですね。たとえば「カルシウム」の基準値を見ると、粗製海水塩化マグネシウムは塩化マグネシウムの8倍となっています。それだけカルシウムが入っていても許されるということです。確かに「ミネラルが豊富」といえなくはないかもしれません。

では別角度から見てみましょう。

先にあげた凝固剤6種類のうち、粗製海水塩化マグネシウムのみ「既存添加物」で、あとの5つは「指定添加物」に分類されます。

「指定添加物」とは、人の健康を損なうおそれのない添加物として、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定したものをいいます。2019年6月6日現在、463品目が指定されています。

一方「既存添加物」とは、長年使用されてきた実績のある添加物として「既存添加物名簿」に収載してもいいよと、厚生労働省が認めたものです。現在(2017年11月30日改正分まで)、この名簿には365品目が収載されています。

既存添加物は、指定添加物のように、厚生労働省により安全性と有効性が確認されているわけではなく、あくまで経験や実績に基づいて認められたものです。そのため、安全性に問題が発覚した場合などは、名簿から外される場合もあります。

たとえば、既存添加物名簿に収載されていた「アカネ色素」は、セイヨウアカネの根から取れる植物由来の添加物ですが、遺伝毒性や腎臓への発がん性が認められたため、2004年に名簿から消除されています。

「長いこと使われてきたけど、確認してみたらやっぱ毒だったわ」なんてことも実際にあるのです。「天然ものだから安心!」ということではないんですね。

安全性に懸念はない!(今のところは)

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ちょっと怖がらせてしまいましたが、既存添加物についても、順次、安全性が確認されており、その都度「既存添加物名簿」は更新されています。

粗製海水塩化マグネシウムの場合は、2019年3月に報告された「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」(国立医薬品食品衛生研究所)の報告書において、「日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。」と結論付けられており、(今のところ)安心して食べてよさそうです。

もちろん、塩化マグネシウムなどの指定添加物については、「人の健康を損なうおそれのない添加物」として指定されているものなので、こちらも(今のところ)安心して食べることができます。

今後、新たな知見が得られ、これまで安全とされていたものが安全でなくなる、という可能性がまったくないとはいえませんが、現時点においては、国が安全というお墨付きを出しているものです。どの凝固剤を使用していようが、神経質になる必要はないでしょう。
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