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味噌汁すごい!? 死亡リスクが下がるかも
2020年1月、国立がん研究センターが、大豆食品と死亡リスクの関連について、9万人を15年間追跡した研究成果を発表しました(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「大豆食品、発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連」)。
それによると、男女とも、味噌や納豆などの大豆を発酵させた食品を多く食べれば食べるほど、総死亡リスクが下がることがわかりました。
個々の食品別にみた場合でも、女性において、味噌や納豆の摂取量が多いほど、総死亡リスクが低下していました。グラフでは、男性も食べる量が多いほどリスクが低下しているように見えますが、統計学的には「下がった!」といえる値ではないようです。
なお、発酵の有無にかかわらず大豆食品を摂取した量(「総大豆食品摂取量」)が多くても、死亡リスクの低下は見られませんでした。
どうやら「大豆食品」というより、「発酵させた大豆食品」というのがポイントのようです。
それによると、男女とも、味噌や納豆などの大豆を発酵させた食品を多く食べれば食べるほど、総死亡リスクが下がることがわかりました。
個々の食品別にみた場合でも、女性において、味噌や納豆の摂取量が多いほど、総死亡リスクが低下していました。グラフでは、男性も食べる量が多いほどリスクが低下しているように見えますが、統計学的には「下がった!」といえる値ではないようです。
なお、発酵の有無にかかわらず大豆食品を摂取した量(「総大豆食品摂取量」)が多くても、死亡リスクの低下は見られませんでした。
どうやら「大豆食品」というより、「発酵させた大豆食品」というのがポイントのようです。
さすが納豆!? 心筋梗塞などで死亡するリスクが下がる可能性
では、発酵、非発酵に注目して、死因別にみてみましょう。
まず、がんによる死亡ですが、これは、総大豆食品、発酵性大豆食品、非発酵性大豆食品のいずれの摂取量との間にも関連はみられませんでした。
一方、心筋梗塞などの循環器疾患による死亡においては、男女とも、納豆の摂取量が多いほどリスクが低下する傾向がみられました。しかも男性においては、納豆などを含めた発酵性大豆食品全体でも同様の傾向がみられました。
さらに、以前の研究では、発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、5年後の高血圧発症のリスクが低下したとの結果も出ています(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「発酵性大豆製品の摂取量と高値血圧の発症との関連について」)。
まず、がんによる死亡ですが、これは、総大豆食品、発酵性大豆食品、非発酵性大豆食品のいずれの摂取量との間にも関連はみられませんでした。
一方、心筋梗塞などの循環器疾患による死亡においては、男女とも、納豆の摂取量が多いほどリスクが低下する傾向がみられました。しかも男性においては、納豆などを含めた発酵性大豆食品全体でも同様の傾向がみられました。
さらに、以前の研究では、発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、5年後の高血圧発症のリスクが低下したとの結果も出ています(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「発酵性大豆製品の摂取量と高値血圧の発症との関連について」)。
やっぱ和食!? 世界平均より循環器死亡率が低い
日本の食卓には、納豆や味噌、醤油など、発酵性の大豆食品が毎日当たり前のように並びます。そこで「もしかして――」と思って、世界の循環器疾患による死亡率を調べてみました。
厚生労働省の検討会の資料によると、全死亡のうち、循環器疾患による死亡の割合は、世界平均が44%で、日本は23.5%(2019年1月9日 厚生労働省「第1回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」資料3)。どうやらそういうことのようですね!?
この結果がすべて発酵性大豆食品のおかげとはいえませんが、少なくとも日本では、世界のほかの国より循環器の病気による死亡率が低いというのは事実のようですから、昔から納豆や味噌汁を食べていることと何か関係があるのかもしれません(関係ないかもしれません)。先に紹介したとおり、納豆を食べるほど循環器による死亡リスクが下がるという研究結果も出ているので、これはもう納豆が苦手な人も、食べるしかないですよね!
厚生労働省の検討会の資料によると、全死亡のうち、循環器疾患による死亡の割合は、世界平均が44%で、日本は23.5%(2019年1月9日 厚生労働省「第1回非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」資料3)。どうやらそういうことのようですね!?
この結果がすべて発酵性大豆食品のおかげとはいえませんが、少なくとも日本では、世界のほかの国より循環器の病気による死亡率が低いというのは事実のようですから、昔から納豆や味噌汁を食べていることと何か関係があるのかもしれません(関係ないかもしれません)。先に紹介したとおり、納豆を食べるほど循環器による死亡リスクが下がるという研究結果も出ているので、これはもう納豆が苦手な人も、食べるしかないですよね!
豆腐はどうよ? とくに何もナシ。それどころか…
ここまで、発酵性大豆食品のいいところばかりが目立っていますが、発酵していない大豆食品はどうなのでしょうか。
先に述べたとおり、同センターの研究では、非発酵性の大豆食品をたくさん食べても、死亡リスクとは関連がないという結果が出ました。実は、それどころか、食べ過ぎると膵臓がんのリスクが高くなるという研究結果も出ているんです(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連」)。
※この結果について、同センターでは、「追跡中の食事の変化について考慮していない」「さまざまな要因について統計学的に十分調整できていない」などのため、今後のさらなる研究が必要としています。
なにやら雲行きが怪しくなってきましたが、食べ過ぎなければリスクは上がらないともいえるわけですし、そもそも大豆は、5大栄養素がバランス良く配合されているいわば“スーパーフード”。しかも大豆サポニンや大豆イソフラボン、オリゴ糖など、健康にいいといわれている成分を豊富に含んでいます。バランス良く、適度な量を摂取している限りは、健康維持にいいはずです。死亡リスクが低下しなくても、食べ過ぎによって悪影響があったとしても、いまのところ、豆腐や豆乳などの非発酵性大豆食品を毎日の食事に取り入れることは、体にいいといえるのではないでしょうか。
つまり、大豆食品はどれも体にダイズ(大事)、ということで。
先に述べたとおり、同センターの研究では、非発酵性の大豆食品をたくさん食べても、死亡リスクとは関連がないという結果が出ました。実は、それどころか、食べ過ぎると膵臓がんのリスクが高くなるという研究結果も出ているんです(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連」)。
※この結果について、同センターでは、「追跡中の食事の変化について考慮していない」「さまざまな要因について統計学的に十分調整できていない」などのため、今後のさらなる研究が必要としています。
なにやら雲行きが怪しくなってきましたが、食べ過ぎなければリスクは上がらないともいえるわけですし、そもそも大豆は、5大栄養素がバランス良く配合されているいわば“スーパーフード”。しかも大豆サポニンや大豆イソフラボン、オリゴ糖など、健康にいいといわれている成分を豊富に含んでいます。バランス良く、適度な量を摂取している限りは、健康維持にいいはずです。死亡リスクが低下しなくても、食べ過ぎによって悪影響があったとしても、いまのところ、豆腐や豆乳などの非発酵性大豆食品を毎日の食事に取り入れることは、体にいいといえるのではないでしょうか。
つまり、大豆食品はどれも体にダイズ(大事)、ということで。
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