2020年10月15日 更新

なぜ聞かれるの?――「ほかにお薬などを使っていますか?」

ドラッグストアや薬局で、薬について相談すると、逆にいくつか質問された経験はありませんか? 「早く薬がほしいのに…」と思うこともあるかもしれませんが、実はその質問には、皆さんが気づかない危機回避のポイントがあって、あなたやご家族の健康、そして命を守るために必要なんです!

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Q.どうして「ほかの薬などの使用状況」を聞いてくるの?

店頭で、薬の相談をしたり、症状に合った薬がないか質問したりすると、どこかのタイミングで「ほかに今飲んでいる薬(たとえば病院で処方された薬、OTC医薬品)やサプリメントなどはありますか?」と聞かれた方は多いはず。
「ほかに飲んでる薬を聞いてどうするの?」とつい言いたくなりますが、この「ほかの薬などの使用状況」は、薬をおすすめする側からすると非常に重要な確認ポイントなんです。

A.「飲み合わせ」の悪い組み合わせがあるから

「ウナギ+梅干し」「天ぷら+スイカ」といった、いわゆる食べ合わせの悪い組み合わせについて聞いたことがありますよね(実は、ウナギと梅干しの組み合わせは問題ないらしいですが)。
一般的には、いっしょに食べると消化に悪い影響を及ぼすためだと言われていて、合食禁(がっしょくきん)や食合禁(しょくごうきん)とも言います。
このことは、食べ物に限らず薬にもあてはまり、専門用語では「相互作用」、通称「飲み合わせ」と言われています。

副作用が出やすくなる

用途が違っていても、それぞれに含まれている成分のはたらきが同じだったり似ていたりすると、副作用が現れる確率が高くなってしまうことがあります。

たとえば、副鼻腔炎や花粉症などで使う鼻炎薬と、乗物酔いに使う酔い止め薬。
用途は全然違いますが、どちらも「抗ヒスタミン成分」という成分が入っていることが多いんです。
そして、抗ヒスタミン成分の副作用として代表的なのが眠気。
つまり、これらの薬をいっしょに飲むと、強い眠気が出てしまって、仕事などに影響が出る可能性があるんです。

効果が弱くなる

「辛いものを食べるときには牛乳を飲め!」という話を聞いたことはありませんか?
牛乳に含まれるカゼインというたんぱく質が、トウガラシの痛い辛味をやわらげてくれるというやつです。
それではないですが、薬や健康食品の世界にも、「あれとこれをいっしょに飲むと効果が弱くなる」という組み合わせが存在します。

たとえば、「腸で溶けて効く」と書かれている便秘薬。
便秘薬には、腸に届いたタイミングで、薬が溶けて効果を発揮してほしい成分(ビサコジルなど)が配合されていることがあります。
そういった薬は、胃で溶けないように特殊な製法で作られているんですが、それを台無しにする代表的なものが牛乳。
牛乳は、胃の中を酸性から中性に傾けるので、腸(中性)で溶けるはずの薬が胃で溶けてしまって効果が弱まってしまうことがあるんです。

効果が強く出過ぎる

「そのほうが早く治りそうだからいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、侮ることなかれ。
下手をすると、死に至ることもあるんです。

たとえば、血を固まりにくくして血栓ができるのを抑える「ワルファリン」という薬。
病院で処方される薬ですが、これと、いわゆる「血液をさらさらにする」といわれているようなサプリメント(DHA、EPA、イチョウ葉、ナットウキナーゼなど)を併用すると、血を固まりにくくする効果が強くなってしまうことがあります。
すると、ケガで出血したり、内臓で出血が起こったりした場合、血が止まりにくくなり、場合によっては大事に至る可能性も。


このように、「ほかの薬などの使用状況」は非常に重要なんです。

店頭で質問されたら、ぜひ「自分や家族のことを考えて聞いてくれているんだな」と思いながら詳しくお答えください。
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