お風呂上がりに蕁麻疹が……冬のブツブツ・かゆみ対処法

ありふれた症状のようにも思える蕁麻疹ですが、実は、そのほとんどが原因不明。食べ物、運動、温度、疲れ、アレルゲンといったさまざまな刺激と、その人の体質や体調などが合わさって起こるとされているのです。ここでは、冬に起こりがちな蕁麻疹の種類と症状、そして予防法などをご紹介します。

目次

お風呂上がりにかゆみのあるブツブツが! <コリン性蕁麻疹>

身体をきれいに洗い、湯船でしっかり温まったのに、入浴後の腕や足、背中などに小さな赤いポツポツができて、ピリピリとした痛みやかゆみがある……。それは「コリン性蕁麻疹(こりんせいじんましん)による症状かも知れません。

●症状
入浴後だけでなく、運動辛いものを食べて汗をかいたときなど​に、2~5mm程度の小さな発疹が現れます。かゆみだけでなく、発疹が出るとき、ピリピリ、チクチクとした痛みがあることも。発疹は通常、数分~数時間で自然に治まります。

●原因と予防法
発汗と関係の深い、アセチルコリンという神経伝達物質が刺激となって起こる蕁麻疹です。発症のメカニズムとしては、「汗の管が詰まっている説(汗管閉塞説)」、「汗へのアレルギー反応説(汗アレルギー説)」、「汗が出なくなっている説(アセチルコリン受容体発現低下説)」などさまざまな説がありますが、いまだ解明されていません。

治療には、抗ヒスタミン薬や抗コリン薬などが使用されます。そのほか、適度な入浴や軽度な運動といった、「汗をかく訓練」をすることも発症予防に役立つと言われています(ただし、症状が悪化するおそれもあるので、必ず皮膚科の医師に相談しましょう)。

体が冷えるとかゆみを伴うブツブツが! <寒冷蕁麻疹>

暖かい部屋から外に出たときや、お風呂上がりで体が冷えてきたとき、冷たいフローリングの上を素足で歩いたときなどに、かゆみを伴うブツブツや、赤い腫れが出る…。それは「寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)による症状かも知れません。

●症状
冷たいものに触れた部分だけに症状が出る「局所性」のものと、冷えたことで腕や脚、背中など全身に症状が出る「全身性」のものがあります。強いかゆみのある発疹が現れるのが特徴ですが、かゆみは少なく赤みだけが現れることや、痛みを伴うこともあります。通常、症状は数分~数時間で自然に治まります。

●原因と予防法
寒さや冷たさなどの<寒冷刺激>​がきっかけとなって起こる蕁麻疹です。寒冷刺激により、かゆみの原因物質(ヒスタミン)が大量分泌されることで起こりますが、なぜ寒冷刺激でヒスタミンが大量分泌されるのかという詳しいメカニズムは解明されていません。

予防法としては、屋外に出るときはしっかり防寒対策をとり、フローリングを歩くときはスリッパを履くなど、肌を寒気にさらさないように注意することが大切。なお、ほかの蕁麻疹のように、かゆみを抑えようとして患部を冷やすと、症状が悪化することがあります。寒冷蕁麻疹に関しては、発疹・膨疹が出ている部分を温めるのがおすすめです。

体が温まるとブツブツが出てかゆくなる!? <温熱蕁麻疹>

お風呂や暖房器具、ドライヤー、使い捨てカイロなどを使って体を温めたときに、温まった部分が赤く膨れて、強いかゆみを感じる…。それは「温熱蕁麻疹(おんねつじんましん)による症状かも知れません。

●症状
お湯や暖房、ドライヤーなど、あたたかいものに触れた部分に症状が出る「局所性」のものがほとんどですが、まれに刺激を受けた部分とは関係ないところに症状が出る「全身性」のものもあります。コリン性蕁麻疹とは違って、体の芯まで温まったり、汗をかいたりしなくても、皮膚の一部分が温まるだけで発症するのが特徴。おなかや太ももの内側といったやわらかい部分に出やすいほか、温かい飲食物の摂取で唇などが腫れることも。通常、症状は数分~数時間で自然に治まります。

●原因と予防法
その名の通り、<温熱刺激>を受けたことがきっかけとなって起こる蕁麻疹です。温熱刺激で大量に分泌されたヒスタミンによって引き起こされますが、寒冷蕁麻疹同様、なぜ温熱刺激がヒスタミン大量分泌を起こすのかはわかっていません。

予防法としては、温熱刺激をできるだけ避けることが重要……なのですが、入浴や暖房、料理など、日常生活に潜む温熱刺激を完全に避けることは難しいといえます。症状が繰り返すときは、抗ヒスタミン薬の内服による治療が行われます。なお、かゆみがひどいときには、ぬれタオルなどで患部を冷やすことで、一時的にかゆみを抑えることができます。

【対処法】自己判断をせず、まずは病院の受診を!

「冬の皮膚のトラブルは、乾燥が一番の原因」だと思い込んでいませんか? もちろん、保湿は冬のお肌にとても重要ですが、つらい蕁麻疹の対処法としては十分とはいえません。

また、ご紹介した寒冷蕁麻疹温熱蕁麻疹のように、症状は似ていても、「患部を温めるべきか、冷やすべきか」の対処法が異なることも。自己判断で対処法を間違えると、悪化してしまうこともあるのです。

そこで、ブツブツやかゆみがつらいときは、まず皮膚科やアレルギー専門医などを受診しましょう。その際、「症状が起きたのはいつからか」「どんなときか(直前の行動)」「どんな症状だったか」「どれくらい続いたか」などを聞かれます。事前にメモに残し、スマホで患部を撮影しておくなど、情報を整理しておくといいでしょう。

蕁麻疹には急性のもの、慢性のもの、アレルギー性のもの、物理的刺激によるもの、別の病気の部分症状として表れるものなど、多くの種類があります。また、かぜや疲労、睡眠不足、ストレスといった、さまざまな原因が組み合わさって起こることもあるのです。

そこで、蕁麻疹が出やすい人は、日頃から規則正しい生活や、十分な休養と睡眠、栄養バランスの取れた食事を心がけて、体調を整えておきましょう。

なお、蕁麻疹がかゆいからと掻いてしまうと、それが新たな刺激となって、かゆみの範囲が広がったり、かゆみが増したり、場合によってはかき壊してしまうことも……。かゆみ止めの外用薬などを使って、患部を掻かないように気をつけましょう。また睡眠中、無意識のうちに患部をかきむしってしまい、傷あとが残ってしまうこともあります。手の爪は短めに切っておくといいでしょう。