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私たちがイメージする“ドレッシング”には、「ドレッシング」とそうでないものがある
食品表示は、「食品表示法」に基づいて定められた「食品表示基準」にのっとって記載されます。“ドレッシング”の食品表示については、「食品表示基準」と、それに基づいて業界団体が自主的に定めた「ドレッシング類の表示に関する公正競争規約」で規定されています。
その公正競争規約においては、いわゆる“ドレッシング”を「ドレッシング類」と称して、以下のように分類しています。
そのうち「ドレッシング」は、さらに細かく分類されていますが、そこまで説明すると長くなるので、今回は割愛します。
なお、「サラダ用調味料」は、「ドレッシング」にも「ドレッシングタイプ調味料」にも該当しないものです。公正競争規約には定められていますが、食品表示基準ではとくに規定されておらず、ほかの2つとちょっと違うので、こちらも別の機会に説明します。
ということで、「ドレッシング」と「ドレッシングタイプ調味料」について見ていきましょう。
ドレッシング類とは、サラダにかける酸っぱい調味料!?
食品表示基準における「ドレッシング」の定義は以下の通りです。
「食品表示基準」別表第3
一 食用植物油脂(香味食用油を除く。以下この表及び別表第四のドレッシング及びドレッシングタイプ調味料の項において同じ。)及び食酢若しくはかんきつ類の果汁(以下ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料の項において「必須原材料」という。)に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状の調味料又は分離液状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの
二 一にピクルスの細片等を加えたもの
「食品表示基準」別表第3
一 食酢又はかんきつ類の果汁に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製した液状又は半固体状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの(食用油脂を原材料として使用していないものに限る。)
二 一にピクルスの細片等を加えたもの
サラダにかける調味料には、必ず酸味が入っているということなんですね。
「ノンオイルドレッシング」は「ドレッシング」ではない!
それは、「油脂」が含まれているかどうかです。
さきほどの食品表示基準に書かれている通り、「食用植物油脂」が含まれているものは「ドレッシング」、食用植物油脂を含めた「食用油脂」が含まれていないものは「ドレッシングタイプ調味料」に分類されます。
※「食用植物油脂」:食用ゴマ油、食用オリーブ油、食用菜種油など
「食用油脂」:食用植物油脂、食用動物油脂、食用加工油脂
なので、食用油脂が含まれていない、いわゆる「ノンオイルドレッシング」は、「ドレッシングタイプ調味料」に分類されます。パッケージに「ノンオイル“ドレッシング”」と書いてあっても、分類上は決して「ドレッシング」ではないのです。
※画像はイメージです
「ノンオイルドレッシング」は「ノンオイル」でもない!?
食品表示基準では、商品の容器や包装に表示してはいけない内容を次の通り定めています。
「食品表示基準」第9条第2項
前項に規定するもののほか、別表第22の上欄に掲げる食品にあっては、同表の下欄に掲げる表示禁止事項を容器包装に表示してはならない。
「食品表示基準」別表第22
ドレッシングタイプ調味料にあっては、「ドレッシング」、「マヨネーズ」等ドレッシングと誤認させる用語。
と思われるかもしれませんが、じつは、別表第22には続きがあります。
「食品表示基準」別表第22
ドレッシングタイプ調味料にあっては、「ドレッシング」、「マヨネーズ」等ドレッシングと誤認させる用語。ただし、製品100グラム中の脂質量が3グラム未満のものについて「ノンオイルドレッシング」と表示する場合は、この限りでない。
ちなみに、「ドレッシングタイプ調味料」以外の食品において、脂質量を含まない(「ノン」「ゼロ」「無」など)旨を表示する場合は、100g(100mL)あたり0.5g未満と、「ドレッシングタイプ調味料」よりも厳しい数値となっています(「食品表示基準」別表第13)。
なんだかややこしい気もしますが、そういうルールになっているんです。
「ゼロ」や「ノン」という表示は、必ずしも言葉通りの「ゼロ」や「ノン」ではないんですね。
「ノンオイルドレッシング」は、(分類上は)「ドレッシング」ではなく、脂質が(3g未満まで)含まれている(こともある)「ドレッシングタイプ調味料」である。
それでは、またの機会に。