なぜ聞かれるの?――「このお薬は誰が使いますか?」

ドラッグストアや薬局で、薬について相談すると、逆にいくつか質問された経験はありませんか? 「早く薬がほしいのに…」と思うこともあるかもしれませんが、実はその質問、あなたやご家族の命を守るために必要なんです!

目次

Q.どうして「誰が使うか」を聞いてくるの?

店頭で「○○に効く薬はありませんか?」と聞くと、逆に「どなたがお使いになりますか?」と聞かれた方は多いはず。
「私が使うに決まってるじゃん!」「質問を質問で返すなあーっ!(某奇妙な冒険風に)」とつい言いたくなりますが、この「誰が使うか」は、薬をおすすめする側からすると非常に重要な確認ポイントなんです。

A.使ってはいけない方がいるから

薬は、配合成分によって「使える人」と「使ってはいけない人」がいます。
たとえば、パッケージや添付文書で、こんな文言を見たことはありませんか?
例1
<用法・用量>
・15歳以上:3錠
・12歳以上:2錠
・12歳未満:服用しないこと
1日3回食後に服用してください
例2
<使用上の注意>
してはいけないこと
次の人は服用しないこと:出産予定日12週以内の妊婦
こうしたものに該当する方は、その薬を使ってはいけないわけです。
なぜなら、もし使ってしまうと、場合によっては命にかかわるような、予期せぬ副作用が起こる危険があるため。
妊婦さんや授乳中の方の場合は、その薬によって胎児や赤ちゃんに影響が出てしまうこともあります。

たとえば子どもの薬を親が買いに来るとか、妊娠中の妻に頼まれて夫が買いに来るとか、購入する人と使う人が違うことは大いにあり得るので、薬剤師や登録販売者は、必ず「誰が使うか」を質問し、その回答に応じて、
・その薬をお客様に販売しても問題ないか?
・(問題がある場合)ほかにおすすめできる薬はどれか?
・病院で診てもらったほうが良いのではないか?

といったことを考えているわけです。


店頭で質問されたら、「自分や家族のことを考えて聞いてくれているんだな」と思いながら詳しくお伝えしましょう。