【食品表示を見てみよう!】“かつおぶし”と表示された商品はない!!(厳密に言えば)

みなさん、食品の外箱やパッケージに書いてある「原材料名」「賞味(消費)期限」などの「食品表示」、チェックしたことはありますか? とくに気にしないという人もいると思いますが、食品表示には重要な情報がたくさん詰まっています。この機会に、いろんな食品の表示をチェックしてみましょう。

目次

“かつおぶし”も“煮干し”も削れば「削りぶし」

今回見てみる食品表示は、“かつおぶし”です。

「♪ハァ~ 沖のカモメに~」の「カツヲ節」(民謡)ではありません(そんな民謡はありません)。食べる方のやつです。
食品を扱っているドラッグストアなら、大体品ぞろえしていると思います。

その“かつおぶし”という名称、実は、食品表示法では定義されていないんです。同法で定義されているのは、「削りぶし」という名称とその細かい分類のみ。

では、「削りぶし」とはどんなものなのでしょうか。

「食品表示基準」別表第3「削りぶし」

次に掲げるものをいう。
一 かつお、さば、まぐろ等の魚類について、その頭、内臓等を除去し、煮熟によってたんぱく質を凝固させた後冷却し、水分が26パーセント以下になるようにくん乾したもの(以下この表、別表第4、別表第19及び別表第22の削りぶしの項において「ふし」という。)又はふし(かつおにあっては、表面を削ったもの)に二番かび以上のかび付けをしたもの(以下別表第4、別表第19及び別表第22の削りぶしの項において「かれぶし」という。)を削ったもの

二 いわし、あじ等の魚類を煮熟によってたんぱく質を凝固させた後乾燥したもの(以下別表第4、別表第19及び別表第22の削りぶしの項において「煮干し」という。)又はこれらの魚類を煮熟によってたんぱく質を凝固させた後圧搾して魚油を除去し乾燥したもの(以下別表第4、別表第19、別表第20及び別表第22の削りぶしの項において「圧搾煮干し」という。)を削ったもの

三 一及び二を混合したもの

削る前の、硬い木の棒のようなあの物体ですが、あの状態のものは「ふし」というんですね。

「ふし」には、表面が滑らかで茶色い粉が付着したようなものと、表面がゴツゴツしていて黒っぽいものがあります。前者が、かび付けした「かれぶし(枯節)」、後者は、ここでは定義されていませんが、一般に「あらぶし(荒節)」とよばれるものです。

そして、この「ふし」をカツオで作ったものが「かつおのふし(かつおぶし)」、サバで作ったものが「さばのふし(さばぶし)」というわけです。

「削りぶし」は、これらの「ふし」または「煮干し」を削ったものと定義されています。カツオだろうがサバだろうがマグロだろうが、「ふし」を「削った」ら「削りぶし」なんです。

カツオだけ特別扱い!? その表示の方法とは?

では、これらは一体、パッケージにどのように表示されるのでしょうか。

表示の方法を定義した「食品表示法」別表第4では、次の通り定められています。

「食品表示法」別表第4「名称」

次に定めるところにより表示する。
一 一種類の魚類のかれぶしのみを使用したものにあっては、「○○かれぶし削りぶし」又は「○○かれぶし削り」と表示し、「○○」には「まぐろ」、「かつお」等のかれぶしに使用した魚類の名称を表示する。

二 一種類の魚類のふし、煮干し又は圧搾煮干しを使用したものにあっては、「○○削りぶし」と表示し、「○○」には「かつお」、「そうだがつお」、「いわし」等のふし、煮干し又は圧搾煮干しに使用した魚類の名称を表示する。ただし、かつおのふしのみを削ったものにあっては、「花かつお」と表示することができる。

三 一種類の魚類のふし、煮干し又は圧搾煮干しを削ったものとかれぶしを削ったものを混合したものにあっては、「○○削りぶし」と表示し、「○○」には「かつお」、「いわし」等のふし、煮干し又は圧搾煮干しに使用した魚類の名称を表示する。

四 2種類以上の魚類のふし、かれぶし、煮干し又は圧搾煮干しを使用したものにあっては、「混合削りぶし」と表示する。
(以下略)

「(かれぶし)削りぶし」という名称の前に、カツオやマグロなど使用した魚の名前を表示するということです。なので、「かつおのふし」を使った削りぶしの場合は、「かつおぶし」ではなく「かつお削りぶし」と表示されます。

なお、なぜか特別に「かつおのふし」だけを削ったものに限って、「花かつお」と表示できるということです。パッケージに堂々と書いてあるのを見たことがあるかと思います。商品名っぽいですが、きちんと法律で定義された分類名だったんですね。

削りぶしは、削り方だけで分類される

食品表示法においては、先に説明した「削りぶし」の名称に加え、その削り方が定義されています。
・薄削り:削りぶしを厚さ0.2ミリメートル以下の片状に削ったもの
・厚削り:削りぶしを厚さ0.2ミリメートルを超える片状に削ったもの
・糸削り:削りぶしを糸状又はひも状に削ったもの
・砕片:薄削りを破砕したもの
・削り粉:削りぶしのうち、目開き2ミリメートルの試験用ふるいを通過するもの
 「『食品表示法』別表第3」より作成
なんのことはない、薄く削れば「薄削り」、厚く削れば「厚削り」。ほかも名前の通りです。
これらは、「○○削りぶし(破片)」など、名称とあわせて、括弧で表示することとされています(場合によっては省略可)。

以上のことを踏まえて、改めて“かつおぶし”の食品表示を確認してみましょう。

※画像はイメージです

※画像はイメージです

どうですか? いわゆる“かつおぶし”と思っていたものにも、いろいろな種類があるんですね。今後“かつおぶし”を口にする際には、味わいもまた違ってくるかもしれないですね。
結論:
とうふやお好み焼きにかかっているアレは「削りぶし」。必ずしも「かつお」とは限らない。
みなさんも、ドラッグストアに足を運んだ際は、ぜひ食品表示をチェックしてみてください。

それでは、またの機会に。