災害に備えよう! 【1】避難所の過ごし方

地震、台風、火山災害など、多くの自然災害にみまわれる日本。危険性が高い場合、いきなり「避難指示(緊急)」(全員避難)が発令されることもありますから、日頃からの備えが肝心。いざというときに困らないように、「避難」に関する情報を知っておきましょう。

目次

役割が違う? 2つの避難所

「避難所」には、2つのタイプがあることをご存知ですか?
実は、移動するタイミングの違いで分けられているのです。
指定緊急避難場所」→命を守るために逃げ込む場所

災害が発生し、または、発生するおそれがある場合にその危険から逃れるための避難場所として、洪水や津波など異常な現象の種類ごとに市町村長が指定した、安全性などの一定の基準を満たす施設または場所。
自治体などにより一時避難地、緊急避難施設、広域避難場所などとも呼ばれる。​
指定避難所」→緊急避難後に一時滞在する場所

災害の危険性があり避難した住民などを、災害の危険性がなくなるまで必要な間滞在させる、または、災害により家に戻れなくなった住民などを一時的に滞在させるための施設。
自治体などにより生活避難所、収容避難所、二次避難場所などとも呼ばれる。

緊急時、まっ先に逃げ込むのが「指定緊急避難場所」、災害がある程度落ち着いたあとに移動するのが「指定避難所」です。なお、指定緊急避難場所と指定避難所が同一の場所であることもあります。

まずは自宅や学校・職場周辺の避難所を確認し、さらに、それが「どちらに該当するのか?」を調べておくと安心です。

また、どちらも必ず避難しなければいけないというわけではなく、家が無事だったときは「在宅避難」をすることも可能です。在宅避難でも避難所で支援物資を受け取れるので、足りないものがあれば避難所へ行きましょう!

食中毒に要注意!

避難所では、衛生状態の維持が困難です。そのため、食中毒が発生したり、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が流行したりするかもしれません。

水道が使えるときは、調理や食事の前などに必ず流水と石けんで手を洗いましょう。

断水しているときは、手指用アルコール剤ウェットティッシュが便利。おにぎりなどを握るときは、ラップなどを活用して、直接食材に触れるのを避けましょう。また、食器洗いで水を使わずにすむよう、ボウルやお皿はラップ​を敷いて使用し、できるだけ汚さないようにしましょう。

どうしたらいい? 感染の予防

阪神・淡路大震災では、震災時におこりやすい「避難所肺炎」や高齢者の口腔清掃の不良が引き金となった「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」が重症化するケースがありました。
感染症の流行を防ぐためには衛生管理が重要​。ポイントは3つあります。

・ 手洗い
・ うがい
・ マスクの着用
断水時の手洗いについては、さきほどの消毒方法で対処しましょう。
また、うがいができない地域は、避難所スタッフからマスクの着用が強化されます。今のうちに非常用持ちだし袋にマスクを多めに入れておくと安心です。

避難所で具合が悪くなったときどうする?

まずは避難所スタッフまたは医療スタッフに相談しましょう。下痢やかぜになってしまったときは栄養管理が大切です。ポイントは3つあります。

・ 脱水予防のために、こまめに水分をとる
・ 消化がよく軟らかい食事をとる
・ ビタミン・ミネラル類を積極的にとる
下痢や嘔吐がひどいときは、重症化する前に避難所の医師に相談しましょう。医師が不在だったり、ほかの受診者が多くてすぐに相談できない場合、まず重視するべきなのは脱水予防です。

脱水予防に効果的な水分補給法には、次のようなものがあります。
経口補水液
脱水時に失われがちな水分と電解質を速やかに吸収できるように、ナトリウムとブドウ糖の濃度をバランスよく調整した飲料。吸収率が水よりかなり高く、少量で効率的に補給できます。市販の経口補水液としては、特別用途食品「OS-1」(大塚製薬工場)などがありますが、手に入らないときは、手作りすることもできます。
<手作り経口補水液>

水1Lに対して砂糖40g塩3gを加えてよく混ぜる(ペットボトルを使うと簡単)。
●「重湯に少量の食塩を加える」「おかゆと薄めの味噌汁をとる
どちらもナトリウムとブドウ糖を含む組み合わせです。ドラッグストアなどで販売されているおかゆやインスタントみそ汁などを常備しておくと安心ですね。

自然災害は突然襲ってきますが、慌てず騒がずにすむように、事前にきちんと備えておきましょう。

(参考文献)
避難生活で生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について