薬剤師が教える薬のはなし(1) ――飲んだ薬はどうやってはたらくの?――

――薬の効き方――

Q1「飲んだ薬はどうやってはたらくの?」

飲んだ薬はどうやってはたらくの?

A1
かぜ薬や痛み止めのように全身ではたらく薬は、主に腸で体内に吸収され、全身の血液循環に乗って全身で作用します。胃薬や整腸薬のように胃腸の中だけではたらく薬は、基本的に吸収されることなく、消化管内だけで作用します。

解説:
飲み薬には大きく2種類あって、一つはかぜ薬や痛み止めのように腸から体内に吸収されて全身で作用する薬、もう一つは胃薬や整腸薬のように体内に吸収されずに胃腸の中を通り過ぎながらはたらく薬です。

覚えておきたいのは、「体内に吸収される薬は全身ではたらく」ということです。たとえば痛み止めの薬は頭痛などを抑えるために使われますが、血液に乗って全身に運ばれますから、頭だけでなく肩や腰などでも作用します。腰痛や関節痛、月経痛などにも効果があるのはこのためです。

これに対して胃薬や整腸薬、便秘薬などは、基本的に吸収されることなく胃腸の消化管内だけではたらきます。ですから、全身性の副作用を起こしにくいのです。

(1)飲み薬の一部が吸収される

(2)吸収後、代謝を免れた一部が全身へ
・全身ではたらくのは飲んだ薬の一部
かぜ薬や痛み止めの薬は、飲み込むと胃で溶け出して、腸で有効成分が吸収されます。吸収された成分はそのまま全身を回るのではなく、まず肝臓に運ばれて代謝(分解)を受け、基本的に代謝を免れた一部の成分だけが全身ではたらきます。

さらに、腸では飲んだ薬のすべてが吸収されるわけでもないので、実際にはたらく有効成分はかなり少なくなります。成分によって腸管からの吸収率や肝臓での代謝率が異なるため、市販薬にはそれも踏まえて配合量が決められているんですね。

当然のことですが、医薬品の成分はこうしたさまざまな計算の上に配合量が決められていますから、勝手な判断で多く飲んだり服用量を減らしたりしないようにしましょう。