『■X』の系譜(その2)――市販薬の不思議

市販薬でよく見る“■X”というネーミング。どんなものがあるのか調べてみました。その第2部です。

目次

「認めたくないものだな、成分由来じゃないネーミングというのは」

第1部でそれなりの盛り上がりを見せた気がするAからGでしたが、この勢いは続くのでしょうか。
※前回の記事 『■X』の系譜(その1)

では引き続き、品名に“■X”がついた薬について、HからQの由来などを独断と偏見で“憶測”していきましょう。
なお、医薬品名は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」調べです(2020年5月1日時点)。
 

【HX~KX】ありません!

いきなりですが、H~Kまでありませんでした!
メーカーさん、「X」のここ、空いてますよ!

そこで、その名を冠したOTC医薬品を空想してみましたので、メーカーさん、よろしければご利用ください!
・ヘルペス再発治療薬「カゼノハナHX」
・ピリン系イブプロフェン配合解熱鎮痛薬「ネッサーガルIX」
・国産生薬を配合した総合胃腸薬「マスオミJX」
・ビタミンK以外を配合したビタミン剤「ナット・ウィレターレKX」
 

【LX】長く効く!(22件)

全22件中17品が水虫薬
・アスレットLXクリーム(水虫薬)
・コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα(解熱鎮痛薬)  など

あえて言おう。“LX”は「1日1回の水虫薬」の名称であり、「長い(long)」の「L」であると!

でもロキソプロフェン(Loxoprofen)を配合した解熱鎮痛薬も3品あったのであしからず。
 

【MX】少なめで統一感なし(6件)

ビタミン剤が多いかなという印象です。
・シンドリグロンMX(ドリンク剤)
・コンドロビーMX(ビタミン剤)
・パイロンMX(かぜ薬)
・葛根湯エキス顆粒MX(漢方薬)  など

「パイロンMX」(シオノギヘルスケア)には“麻黄湯(maoutou)”が“ミックス(mix)”された処方ですが、葛根湯もMXになっていますからそうとも限らず、よくわかりません。
 

【NX】鼻炎じゃないの?(2件)

サンプル不足といわざるを得ません。
・ルルアタックNX(かぜ薬)
・ハリープレミアムNX(かぜ薬)

「ルルアタックNX」(第一三共ヘルスケア)は、ブランドサイトによると「鼻水・鼻づまりがつらいカゼによく効く」とのことですので、「鼻(nasal)」由来なのではと思われますが、一方、「ハリープレミアムNX」(小林薬品工業)は、たんやのどの痛みなどに効果的な処方なのでした。

【OX】○×感はいなめない?(1件)

・チールOX(肩こりの塗り薬)

「AX」以来の「チール」のご登場ですが、中身は全くおんなじ。
実はこの「OX」、「AX」のイオンハピコムさんバージョンなのです。
いわゆる「プライベートブランド(PB)」とか「ストアブランド(SB)」とかいうものですね。
なお、OもAもその由来は不明です。
 

【PX】売店ではありません(1件)

・インペタンチックPX(肩こりの塗り薬)

配合成分:ピロキシカム(Piroxicam)で間違いないでしょう。
 

【QX】問うてみたい、その由来(3件)

「Q」とかあり得ないだろ、とか思いませんでしたか?
・パルウィンQX(ビタミン剤)
・ビタオーダーQX(ビタミン剤)
・新ビタアルトQX(ビタミン剤)

あるのです、3つ。でも全部同じメーカーで同じ内容。どうやらこれもPBやSBのバリエーションのようです。
由来については――「Quick(速い)」に思いを馳せておきます。

というわけで、まとまりに欠ける第2部でしたが、懲りずにぜひ第3部をご覧いただけたらと思います。

第3部 「めぐりあい・絆創膏」篇へ続く