『■X』の系譜(その3)――市販薬の不思議

市販薬でよく見る“■X”というネーミング。どんなものがあるのか調べてみました。その第3部、完結編です。

目次

「Z・メーカーを超えて」

これまでさまざまな医薬品の名称について(おおよそ)明らかにしてきたこの記事も、いよいよ最後のセクションです。
※前回までの記事
 『■X』の系譜(その1)
 『■X』の系譜(その2)

品名に“■X”がついた薬について、RからZの由来などを独断と偏見で“憶測”していきましょう。
なお、医薬品名は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」調べです(2020年5月1日時点)。
 

【RX】大地に立たず!!(2件)

“RX”のお出ましです。しかし――
・アスパライトRX(目薬)
・フェキソフェナジン錠「RX」(鼻炎薬)

残念ながら「ガ○ダ○」みたいなネーミングは見られませんでした。
いずれも由来は不明です。だってフェキソフェナジンなら「FX」って言ったじゃない!
 

【SX】再びめぐりあう絆創膏(7件)

検索7品中、3品が「キズリバテープSX」のように絆創膏でした。
・フェキソフェナジン錠「SX」(鼻炎薬)
・ゼノールエクサムSX(肩こりの塗り薬)
・キズリバテープSX(絆創膏)  など

またフェキソフェナジン製剤があります。“RX”と同じメーカーさんです。この部分は変えなくてよかったのでは?
 

【TX】トラネキサム酸配合!(基本的には)(6件)

ようやく由来が明確そうな商品が出てきました。
・オロファニックTX錠(トローチ)
・パルウィンTX錠(トローチ)
・コルゲンコーワIB錠TX(解熱鎮痛薬)
・コルゲンコーワIB錠TXα(解熱鎮痛薬)
・鼻炎薬TX(鼻炎薬)  など

共通成分はトラネキサム酸
“TX”は「トラネキサム酸(Tranexamic Acid)」のこと! そう言い切りたい。

でもひとつだけ、「鼻炎薬TX」は配合していません。
ほんとはトラネキサム酸を配合したかったのに違いないけど(希望的観測)。
 

【UX】カチカチ乾燥肌に(2品)

“UX”は乾燥肌にぜひどうぞ。
・パンパスUX(乾燥肌の塗り薬)
・マンナUX(乾燥肌の塗り薬)

どちらも同じメーカーの塗り薬で、主成分は尿素(Urea)なのでわかりやすいです。
 

【VX】Vだけに5商品(5件)

「V」といえばビタミン(Vitamin)!
・エナジーVX(内服液)(ドリンク剤)
・プラセンVX(ドリンク剤)
・ラ・ビアンVX錠(ビタミン剤)
・ハリーエース錠VX(かぜ薬)
・ブルミンエース錠VX(かぜ薬)

ドリンク剤にビタミン剤。そしてかぜ薬のほうを調べてみると、ビタミンが3種類も配合されているじゃないですか。
“ビタミン配合だからVX”で決まりですね!

【WX】そして集いし絆創膏たち(2件)

・ハイバンドWX(絆創膏)  など

また増えましたね絆創膏。
「FX」「SX」「WX」のラインナップとなりました。
 

【XX~YX】ありませんでした

“XX”とか、けっこうかっこいいと思うのですが見つかりませんでした。
化粧品の商品名などには使用されているようです。
「XX(女性)」「YX(男性)」ということで、いっそ男女専門薬(発毛剤や性ホルモン剤)に利用するのはどうでしょう、メーカーさん。
 

【ZX】最後を決めたのはあの最強成分!(13件)

ラストの“ZX”は、多くも少なくもない13品中、12品がジクロフェナクナトリウムを配合した貼り薬でした!
・コーホージクロZXテープ(貼り薬)
・パスタイムZX(貼り薬)
・ビーエスバンZXテープ(貼り薬)
・アリナロングZXコンドロ錠(ビタミン剤)  など

やっぱりジクロフェナクなら「Z」ですよね!
って、え・・・“Diclofenac”・・・だと・・・!


ジクロフェナクを配合した製剤は30品以上もありますが、ほとんどのメーカーで商品名に「Z」や「ZX」が付いています。
えげれすのコトバなんか関係ない、日本では「Z」こそが、消炎作用最強と呼び声高いジクロフェナクの商品名としてふさわしいのですよ! 変形だ!
 

【まとめ】

ここにあげた以外にも“■X”の名をもつ市販薬は存在するかも知れません(PBなどで)。
今回の調査はあくまでも参考値とお考えください。
それにしても、配合成分を英語表記で見ると、スペルに「X」が入っているものが意外と多く、勉強になりました。

いかがでしたでしょうか、「医薬品『■X』の系譜」。
ドラッグストアのお薬を見るのが、少し楽しくなったら幸いです!
それにしても、26文字分は長かったですね。