乳幼児・妊婦が危険!? 流行中&大流行しそうな感染症まとめ【2019年9月版】

現在、RSウイルスが大流行しているようです。また、すでにインフルエンザも流行の兆しが。さらに、風疹について緊急情報が出されたり、「リンゴ病」も4年ぶりの大流行が心配されたりなど、今年は感染症が大はやりの予感。とくに、乳幼児や妊婦は注意が必要なんです!

目次

RSウイルス大流行!

国立感染症研究所が9月24日に発表した「IDWR速報データ 2019年第37週」(9月09日~9月15日分の集計)によると、1週間でRSウイルスに感染した患者数が、過去最多の1万846人を記録したそうです。患者数は4週連続増加中で、32都県が前週の報告数より増加。第1週(今年1月)から第37週までの全国の患者総数は8万7072人で、年間で最も多かった2017年(13万9557人)と比較しても同時期を上回る勢いとなっています。

RSウイルスは主に呼吸器の感染症を引き起こすウイルスで、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが感染するとされています。成人の場合は軽いかぜのような症状ですみますが、乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初感染した場合は、細気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。このRSウイルス感染症に特効薬はなく、治療は熱やせきなど個々の症状を鎮める対症療法のみとなっています。

沖縄県では季節はずれのインフルエンザが大流行

さらに、冬の流行疾患の代表格であるインフルエンザも、すでに流行の兆しが見えています。なんと、国内でも温暖な沖縄県で、さらにまだ夏の時期であるこの段階(第37週)で、定点あたりの患者数が52.22人と異常事態ともいえる数値になっています(グラフ赤枠内:沖縄県発表より引用)。

例年と比べて、報告数(赤枠内)が突出している

ちなみに、インフルエンザの警報と注意報の発令基準
警報:定点あたり30.0人以上
注意報:定点あたり10.0人以上

となっており、この時期の沖縄県の報告数は例年10人にも満たないことを考えると、いかに異常な事態かがわかります。沖縄旅行を計画している人は要注意ですね。なお、同県ほどではありませんが、東京都石川県高知県、九州各県(福岡県佐賀県大分県長崎県宮崎県鹿児島県)など、インフルエンザ患者数は、全国でも増加傾向にあります。

風疹は「緊急情報」が公開に、「リンゴ病」も4年ぶりの大流行

今年は、風疹患者も急増し、厚生労働省が注意を呼びかける事態となりました。それに加えて、過去の制度で定期接種を受ける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日~1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性無償で抗体検査と、ワクチン接種が提供されています。この風疹の猛威を軽視できないことから、国立感染症研究所 感染症疫学センターは、9月25日に「風疹急増に関する緊急情報:2019年9月18日現在」を公開することとなりました。

ほかにも、ほおが赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれる「伝染性紅班」も、4年ぶりの大流行が予想されるなど、今年はさまざまな感染症への注意が必要です。

子どもや妊婦は要注意! 感染を防ぐには?

RSウイルス、伝染性紅班などは、大人であれば重症化することはそれほど多くありません。しかし、小さな子どもが感染すると、場合によっては命にかかわることもあります。さらに、妊婦が感染すると、風疹の場合は「先天性風疹症候群」伝染性紅班の場合は「胎児水腫」や「流産」の可能性など、胎児に影響が出ることもあります。このため、感染しないよう、させないよう、周りの大人も含めて注意が必要です。

いずれも感染経路は、感染者のせきやくしゃみなどによる飛沫感染のほか、ウイルスがついている手指や物を、触ったりなめたりすることによる間接的な接触感染であるため、「飛沫を吸い込まない」「手指のウイルスを口に入れない」ことが重要になります。

そこで具体的な対処として、
・飛沫感染を防ぐためにマスクを着用する(感染者はもちろんのこと)
・可能ならワクチン接種を受ける
・手洗いの回数を増やし、しっかり洗う
・人混みをなるべく避ける

といったことを心がけましょう。
インフルエンザの予防接種を受けるつもりなら、今年は大流行になる前、例年より早めに受診するほうがよさそうですね。よく、「予防接種を受けてもインフルエンザになった」「ワクチンはむしろ体に悪い」などといって、予防接種を受けない人がいますが、たとえ感染してしまっても、予防接種をしているほうが症状が軽くすむ可能性が高いとされています。
不確実な情報に惑わされないためにも、公的機関のWebサイトなどで正しい情報を得て、適切に対処しましょう!
感染症に関する情報一覧
国立感染症研究所「感染症発生動向調査 週報(速報)」
週ごとの感染症発生数など、流行の動向を把握できます。

厚生労働省「感染症情報」
感染症に関する情報がまとめられています。

東京都感染症情報センター「各地の感染症情報(地方感染症情報センター一覧)」
東京都感染症情報センターのページですが、全国の情報センターの連絡先などがまとめられています。