食べ過ぎの胃もたれに効く漢方薬はどれ!? 【ジャストフィット漢方薬 第10回】

ついつい食べ過ぎてしまう食欲の秋。なんとか乗り切ったと安心したのもつかの間、すぐに年末年始の“食べ頃シーズン”がやってきます。そこで今回は、食べ過ぎの胃もたれにおすすめの漢方薬をご紹介しましょう。

食べ過ぎたときに活躍する漢方薬は?
今度のお正月休みは大幅に増えるかも、という話もチラホラ…。かといって、例年のように気軽に外出できる状況ではないでしょうから、おうちで暇を持て余し、テレビを見ながらおいしいものをつまむ、という機会も増えるのではないでしょうか。なかには食が細いのに、豪華なおせちやお雑煮、スナックなど、おいしいものの誘惑に負け、ついつい食べ過ぎて胃もたれになってしまう人も…。
今回はそんな食べ過ぎによる胃もたれに効く漢方薬の問題です。
【Q】
「体力はあまりなく貧血気味の人で、食べ過ぎて胃がもたれる」という症状におすすめなのは、次の選択肢のうち、どの漢方薬でしょうか?

(選択肢)
1. 「漢方胃腸薬」といえば 「安中散(あんちゅうさん)」

2. 胃を平らかにする 「平胃散(へいいさん)」

3. 「六」だけど、配合生薬は8種類 「六君子湯(りっくんしとう)」

気になる答えは……、
  ↓↓↓

【A】
3.「六君子湯(りっくんしとう)」
【解説】
「六君子湯」胃炎、消化不良、食欲不振といった、飲み過ぎ・食べ過ぎで起こりがちな症状に対応できる処方です。貧血気味で手足が冷えるといった、虚弱体質でふだんからおなかを壊しやすい人に適しています。
なお以前も紹介しましたが、「六君子」とは、配合生薬に含まれる「人参(ニンジン)」「朮(ジュツ)」「茯苓(ブクリョウ)」「半夏(ハンゲ)」「陳皮(チンピ)」「甘草(カンゾウ)」の6つの生薬を君子に見立てたことから付いた名称です。実は「六君子」といいながら、このほかにも生薬は2種類配合され、あわせて8種類で構成されています。

「安中散」の「中」は体の中心部、つまり「胃腸」を表しており、その胃腸を安らかにするというところから名付けられています。こちらも体力中等度以下の人の胸やけ、胃もたれ、食欲不振などに使われるものですが、「神経性胃炎」とあるように、本来はストレス性の胃腸トラブルに適した処方とされます。この安中散、CMでもおなじみの「大正漢方胃腸薬」にも入っているんです(「大正漢方胃腸薬」は、安中散と芍薬甘草湯を合わせたもの)。皆さんも知らないうちにお世話になっているかもしれませんね。

「平胃散」も胃もたれに使われますが、こちらは体力が中等度以上ある人向けの処方です。文字どおり胃を平らかにするという意味の処方で、冷たいものをよく飲むなど、胃腸が冷えている人の不調(下痢などにも)に適しているといえます。
各処方の効能・効果
●六君子湯(りっくんしとう)

体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

●安中散(あんちゅうさん)
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱

●平胃散(へいいさん)
体力中等度以上で、胃がもたれて消化が悪く、ときにはきけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のある次の諸症:食べ過ぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振