「殺菌」「滅菌」「消毒」「除菌」「抗菌」の違い、ご存知ですか?

耳にしたこともあるし、日常でも使っているけれど、聞かれるといまいち説明できない…そんな言葉ってよくありますよね? 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で一気に知名度の上がった「殺菌」「滅菌」「消毒」「除菌」「抗菌」について、その違いを見てみましょう。

目次

殺したり減らしたりすることがポイント:「殺菌」「滅菌」「消毒」

殺菌スプレー、低温殺菌牛乳、滅菌ガーゼ、滅菌ボトルなど、「殺菌」や「滅菌」と名のつく商品は多数ありますが、「殺菌も滅菌も似たようなものなんじゃないの?」と思っている方も多いはず。
しかも、そこに「消毒」ときたら、いったい何が何やら…。
どれも「微生物を殺したり減らしたりする」という目的としては同じなんですが、その割合や中身が違うんです!
【殺菌】
「殺菌」とは、微生物を殺すことをいいます。
ポイントなのは、あくまでも「殺すこと」であり、どれくらいの数を殺滅するのかについては定義されていません。
菌の一部でも殺すことができればいい」のです。
つまり、極端なことをいえば、仮に100個の微生物がいたとして、10個の微生物を殺し、残り90個の微生物が生きていたとしても「殺菌した」といえるわけです。
【滅菌】
「滅菌」とは、病原性の有無に関係なく、すべての微生物を殺滅または除去することをいいます。
ポイントは、「すべての微生物を殺滅する」という点です。
つまり、100個の微生物がいたら、100個すべてを殺滅あるいは除去してはじめて「滅菌した」といえるわけです。
【消毒】
「消毒」とは、病原菌などの病原微生物を殺菌・減少したり、病原性をなくしたりして感染の危険をなくすことをいいます。
要するに、「感染を予防すること」に重きを置いているんですね。
そのため、仮に微生物が死んでいなくても、病原性がなくなっていれば「消毒した」といえるわけです。

増やさないことがポイント:「除菌」「抗菌」

では、「除菌」と「抗菌」は何が違うのでしょうか?
除菌スプレー、除菌シート、抗菌まな板など、これまた「除菌」や「抗菌」と名のつく商品は多数あります。
実は、どちらも「微生物を増やさない」という目的が共通していて、その方法が違うんです!
【除菌】
「除菌」とは、微生物の数を減らしたり除いたりすることをいいます。
あくまでも「減らす」ことが目的なので、微生物が死んでいるかどうかは無関係。
たとえば、机の上を拭き取って残った微生物の数が減っていれば、「除菌した」といえるわけです。
【抗菌】
「抗菌」とは、微生物がこれ以上増殖しないようにすることをいいます。
つまり、仮に100個の微生物がいたとしたら、それが101個以上にならないようにすることが「抗菌」の役割。
微生物を減らすわけではないんですね。
そのため、抗菌と名の付く商品は、微生物が増殖しないような加工が施されていると考えれば問題ありません。
いかがでしたか?
それぞれの違いがわかれば、自分に本当に必要な商品を選ぶことができるようになります。
ぜひ参考にしてみてください。

また、「消毒」について、より具体的な内容を知りたい方は、こちらもご参照ください。
マメドラ――ドラッグストアに関する豆知識――「第3回:消毒薬」