【それゆけ! 禁忌kids】第1回「かぜで花粉症なら何を飲めばいいの?」の巻

元気が取り柄だけど、毎度問題を起こしちゃうドラッグ店員「平気くん」。いつもムチャしがちな彼に、正しい薬の使い方を伝授するためにやってきた「禁忌kids(きんきキッズ)」。うまく平気くんを導くことができるのでしょうか……?

目次

飲み合わせなんて、へーき平気!

「おーい、平気くん! 入り口の水のケース10箱、裏に持って行ってもらえる?」
「はい、店長! もちろん平気です! いくぞー!」
「おーい、あんまりムチャするなよー!」
ガラガラガッシャーン!
「わー、またやっちゃった! でも、へーき平気!」
今日も元気な「それゆけドラッグ」の店員、平気 大介26歳。元気過ぎて、あと先考えずムチャしちゃうのが玉にきず。いつものように失敗のあと片付けをしていると、常連のお客さん、真面目 一郎さんが車に乗ってやってきました。

「よう、平気くん、今日も派手にやってるねー」
「あー、どうも真面目さん。これくらい全然平気っす。それより、そちらの調子はどうですか?」
「それが、花粉症がひどいうえに、どうもかぜまでひいちゃったみたいで、くしゃみや鼻水だけでなく、せきも出てきちゃって。ちょっと熱っぽいんだよなー、これから営業に回らなきゃいけないのに……」
「それはいけませんね。あ、そうだ、いい薬が入ったんで試してみませんか? 持ってくるからちょっと待っててくださいね!」

平気くん、片づけもそこそこにバックヤードに向かい、これから店頭に並べる予定だった、新発売のかぜ薬鼻炎用内服薬を手にとったちょうどそのとき、段ボールの影に何かを見つけました。

「禁忌kids(きんきキッズ)」登場!

近づいてよくよく見ると、それは古くさい印籠※ 水戸黄門で有名なアレ。今でいうピルケース(薬入れ)。

「何でこんなものがここに……?」
ふたを開けてみると、中から煙がモクモク出てきて……、

おい、お前、その薬どうする気だ?
と、変わった格好をした手のひらサイズの男の子(?)が登場! すると、そのうしろから、
そうよ、まさか2ついっしょに使う気じゃないでしょうね」と、同じく変わった格好をした小さな女の子(?)まで現れました。

「なんだよ、お前ら? 平気だよ、花粉症とかぜで困っている営業マンのお客さんがいるから使ってもらうんだ
ダメ、ぜったい! それって、『してはいけないこと』だろ?」
と男の子にたしなめられますが、突然の不思議な状況にも、平然と対応できる平気くんの“平気力”はさすが。女の子が続けます。

「そのとおり、危ないからダメよ。私たちは薬の妖精『禁忌kids(きんきキッズ)』。間違った薬の使い方をしないように教えてあげるのが役目なの。私はキンちゃん、この子はキーくんよ。私たちの言うことがウソだと思うなら、ほら添付文書をよく見て!」※薬に付いてくる注意事項などをまとめた紙。
そう言われて平気くんが添付文書を見てみると……、

いっしょに使っちゃダメ、ぜったい!

「ホントだ! かぜ薬と鼻炎用内服薬のどちらにも、いっしょに使っちゃダメだって書いてある!」
「わかったか? オレたちの言うことをよく聞いたほうがいいぞ」
「でも、だったらどうしたらいいんだよ? 苦しんでいる人を放っておいて平気なのか?」
「そんなときは、治したい症状に必要なお薬だけを飲んでもらえばいいの。たとえば、鼻炎症状だけなら鼻炎用内服薬とか、熱もあったら総合感冒薬とか」
総合感冒薬はくしゃみや鼻水以外に、せきやたん、発熱、のどの痛みにも効くからな。ちなみに、かぜで発熱だけ気になるなら、解熱鎮痛薬でもいいぞ」

「そっか! じゃあ、真面目さんはかぜ薬なら平気なんだな! だったらこれを……」
「ねえ待って! さっき『営業マン』って言ってたけど、その人、車に乗ってたりしないわよね?」

真面目さんに使える薬は、どれ?

「え? もちろん営業に回るからバリバリ乗ってるよ。平気だろ?」
ダメ、ぜったい!
「ダメね。『してはいけないこと』の③に書いてあることも読んでみて」

「どれどれ……、え? 運転しちゃダメなの? じゃあ、おすすめするものないじゃん!
「まあ、ないわけじゃないけどな」
「そうね。アレがいいかもね。飲み合わせも眠気も問題にならないアレがね」
「なんだよ、その、使っても平気なやつ教えてくれよー!」

―第2回(「かぜにも花粉症にも使えるすてきなアイツ」の巻)に続く―
今回の「ダメ、ぜったい!」 
~似た薬をいっしょに使ったらダメ!~


かぜ薬(総合感冒薬)と鼻炎用内服薬は、どちらにもくしゃみなどを鎮める抗ヒスタミン成分が配合されている(または同じようなはたらきをする抗アレルギー成分を配合している)ため、いっしょに使うと、似た作用の成分を多く飲み過ぎることになってしまいます。すると、作用が強く出過ぎたり、副作用が出やすくなったりするおそれがあるのです。同じ理由から、似た成分が配合されている「乗り物酔い薬(アネロン『ニスキャップ』『トラベルミン』など)」「催眠鎮静薬(『ドリエル』など)」なども、いっしょに使えません

また、抗ヒスタミン成分の多くは眠くなる作用があることから、同成分を含む医薬品を服用すると、車の運転や機械類の操作はできないということも理解しておきましょう。(抗ヒスタミン成分を配合した医薬品でも、「アレグラFX」など一部の医薬品は、運転操作の注意事項の記載がないものもあります)