マメドラ――ドラッグストアに関する豆知識――「第2回:マスク」

世の中には、知っているようで意外に知らないことがたくさんありますよね。 「どうして空は青いのか?」「人はなぜ生まれどこへ向かうのか?」のような自然の摂理や哲学はさておき、「知っているようで意外に知らない」そんなことがお近くのドラッグストアにも実はたくさんあるんです。 ドラッグストアに関する豆知識、略してマメドラ、第2回は「マスク」に焦点を当ててお送りします。

目次

そのマスク、本当に求めているマスクですか?

かぜ、花粉症、睡眠時の加湿などに用いられるマスク。
最近では、すっぴん隠しやファッションにまで取り入れられているほど、幅広い用途で使われています。
ドラッグストアやネットショップなどではこれでもかというくらいの種類があって、正直違いがよくわからないですよね。

「N95」「医療用」「○○効率□□%」などなど…よくわからない!

パッケージを見てみると、
・N95をクリア!
・サージカルマスク
・細菌濾過効率95%
・微粒子濾過効率95%
・花粉捕集効率99%
など、色んな表記が記載されていて、何が何だかさっぱりという方もいるはず。

実は、マスクには大きく3種類あり、それぞれに規格があるんです。
いったいどんな違いがあるんでしょうか?

1.ごついマスクは「N95」! 高性能だけど高価格な諸刃の剣タイプ

花粉症やかぜなどの時期になると、立体的で丈夫そうなマスクを見かけることが多くなりますよね。
そして、マスクのパッケージに書いてある「N95」の文字。
これは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の「N95規格」という規格に合格した証なんです。
細かい条件はあるものの、大まかには「フィルターで捕集しづらい0.3μm程度の粒子を95%以上捕集できる能力がある」ことを、N95規格適合といいます。
花粉の大きさが約30~40μmPM2.5の大きさが2.5μm細菌の大きさが1~数μmですので、「0.3μm程度の粒子を95%以上捕集できる」というのはこれらの物質に対して有用ということですね。
ちなみに、日本にも厚生労働省が定めた規格(産業マスクとしての規格)があり、「DS2」という規格がN95と同等の性能をもっていますが、こちらはあまり店頭では見かけませんね。

つくりがしっかりしていて、フィルター性能も高いため、値段は高価なものが多いです。
「高性能ならお金は惜しまない!」という方におすすめの逸品です。

2.「サージカル」は医療用! 性能・価格ともに高水準タイプ

ドラッグストアで見かける「サージカルマスク」の文字。
「サージカル(surgical)」は「外科の、手術の」という意味で、要するに病院などの医療現場で使われるマスクのことをいいます。
日本では医療用マスクの規格がないため、欧米の各規格に適用されたマスクが使われていることが多いです。

サージカルマスクでよく見かける規格は2つ。
(1)細菌濾過効率(BFE):黄色ブドウ球菌(約3μm)をマスクに通した際に、95%以上を捕集できる
(2)微粒子濾過効率(PFE):ポリスチレン粒子(0.1μm)をマスクに通した際に、95%以上を捕集できる
※インフルエンザウイルスの大きさは0.1μm前後

N95マスクと同様に、花粉やPM2.5、細菌に対して有用なフィルター性能といえますね。
ただし、微粒子濾過効率の記載がないマスクでは、PM2.5や細菌に対する有用性は低いと思われます。

N95マスクよりフィルター性能は据え置きですが、比較的安価ですので、「ふつうのマスクより性能のいいものがほしい」という方におすすめです。

3.定番中の定番! 「家庭用マスク」

ドラッグストアでもっともよく見かける、「ガーゼマスク」「不織布マスク」のことです。
かぜ、花粉症対策、防寒・保湿などの目的で日常的に使われることの多いマスクで、平型マスクプリーツ型マスク立体型マスクといった形状があります。
医療用マスクと同様、日本では規格がないため、企業独自で花粉などの捕集性能を検証し、その捕集効率の数値を表示している商品もあります。
ただし、JHPIA(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会)の自主基準によって、捕集効率の表記は最大で「99%」までとするように決められています。

お求めやすい価格であるほか、形状がもっとも多岐にわたるため、初めて手に取る際はこちらがおすすめです。

どうやって自分に合ったマスクを見つければいいの?

マスクには色々な規格があり、それらの数字についてもよくわかりましたが、いちばん忘れてはならない大事なことは、「そのマスクが自分の顔にちゃんとフィットしているか?」です。
マスクのフィルター性能が良くても、顔に装着した際に隙間が空いていると、そこから花粉やウイルスなどが侵入してきます。
また、装着したときの呼吸のしやすさや装着時の不快感がないかもポイントです。
用途や価格はもちろん、マスクの形やサイズ、呼吸のしやすさなどから総合的に判断し、自分に合ったマスクを見つけましょう。