【ポテチによって税率が違う!】みんな大好き! お菓子の軽減税率

消費税10%時代到来。気になる軽減税率制度の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」です。ただ、飲食料品のなかには、軽減税率が適用されないものもあります。みんなが大好きなお菓子も例外ではありません。では、どのようなお菓子が、軽減税率の対象外なのでしょうか。

目次

お酒や薬以外の「食品」が8%(外食除く)

軽減税率の対象となる「飲食料品」の範囲は、国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」で次のように規定されています。

人の飲用又は食用に供される、
1)米穀や野菜、果実などの農産物、食肉や生乳、食用鳥卵などの畜産物、魚類や貝類、海藻類などの水産物
2)めん類・パン類、菓子類、調味料、飲料等、その他製造又は加工された食品
3)添加物(食品衛生法に規定するもの)
4)一体資産のうち、一定の要件を満たすもの
をいい、
・医薬品、医薬部外品、再生医療等製品、酒税法に規定する酒類
を除きます。

ごはんやパン、そのほか毎日の生活で必要な飲食料品の消費税は、負担の軽減という名目で8%に据え置かれています。一般の生活者が直接購入することはあまりないと思いますが、加工食品に使われるような添加物は、「食品」に該当するので8%です。

外食や、嗜好品であるアルコール類医薬品等は、軽減税率の対象ではなく、消費税は10%です。

4)に書かれている「一体資産」ですが、これはどういうものでしょうか。

8%のポテチと10%のポテチがある!

一体資産については、政府広報オンラインの「消費税の軽減税率制度」で、以下の通り説明されています。

一体資産とは、おもちゃ付のお菓子や、コーヒーとカップとが一緒になっているコーヒーギフトセットなど、あらかじめ軽減税率の適用対象である食品(酒類を除く)と食品以外の商品とが一体として販売されるもの(その一体資産の価格のみが提示されているものに限ります。)をいいます。
一体資産は、原則、軽減税率の適用対象外となりますが、販売価額(税抜き)が1万円以下のものであって、その資産の食品から構成されている部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上のものは、全体が軽減税率(8%)の適用対象となります。

食品以外のものがおまけやセットとして食品といっしょになっているものを、「一体資産」といいます。
一体資産は軽減税率の対象外(10%)ですが、後半に書かれているように、
1万円以下
食品部分の価額(値打ち。単に原価や価格というわけではない)が全体の3分の2以上
であるものは、いわゆる「食品」と同じ、軽減税率8%の対象となるとしています。

現在では、おまけのほうがメインでガムが一粒だけ、といったようないわゆる“食玩(食品玩具)”が多く発売されています。そういったものは、明らかに食品の値打ちが3分の2以下なので、軽減税率の対象外、10%となっています。「お菓子(食品)」ではなく「おもちゃ」の扱いですね。

そこまであからさまじゃないですが、たとえば笛の入れ物に入ったミンツ菓子、ウィードの「たのしいよこぶえ」は、ミンツを食べ終わったあとでも笛として使用することができます。この場合もいわば「笛扱い」となり、10%の税率となっています。

食品とおまけの値打ちが、ぱっと見てわからないものはどうでしょうか。
たとえば、江崎グリコの「アソビグリコ」やロッテの「ビックリマンチョコ」などは、8%のままです。これは、おまけが文字通り「おまけ」程度(!?)の値打ちと判断されたので、軽減税率(8%)が適用されています。

カルビーの「プロ野球チップス」はどうでしょうか。
見た目だけでいえば、食品部分がほとんどを占めており、軽減税率の対象になっていそうです。しかし、税率は10%です。

その理由は、食品やおまけの量や大きさではなく、値打ちを基準としているためです。この商品はカードがメインの商品であり、ポテトチップスの値打ちが3分の2に満たないということですね。

なお、 同社は普通のポテトチップスでも有名ですが、それらはおまけが付いていない「食品」なので、当然8%のままです。

(上段左から)
ウィード「たのしいよこぶえ」、カルビー「プロ野球チップス」
(下段左から)
クラシエ「ねるねるねるね」、カルビー「ポテトチップス」

上の4商品を某ドラッグストアで実際に購入した際のレシート。「◎」印が軽減税率(8%)の対象商品

ケーキのお持ち帰りは8%+10%!?

洋菓子店の店内でケーキを食べることは外食にあたるため、税率は10%となりますが、買って帰る場合は8%となります。

さて、買って帰るときですが、たいていのお店で、保冷剤をつけてくれると思います。ドラッグストアでも、お店によっては、アイスクリームや生鮮食品などを購入した人に、保冷剤をつけることもあるかと思います。

サービスでつけてくれる場合は、ケーキやアイスクリームなどの商品だけに消費税がかかるのでわかりやすいですが、なかには「保冷剤:1個○円」として販売しているお店もありますよね。

その場合、保冷剤を持ち帰り用の箱の中に入れたとしても、あらかじめ食品と一体になっている「一体資産」に該当せず、また、保冷剤自体も「食品」ではないため、税率は10%となります。ケーキやアイスクリームが8%で保冷剤が10%

ややこしい感じで書きましたが、要は、ケーキと保冷剤を買ったと考えればわかりやすいですね。

では、保冷剤ではなく、ドライアイスだったらどうでしょうか。
ドライアイスはさすがに無理ですが、氷だったら食べられるので、8%の可能性もありそう。

ですが、たとえ食べられる氷であったとしても、保冷用として販売しているものは「食品」に該当しないので、税率は10%となります。もちろん、かき氷用の氷や飲み物に入れる食用氷は「食品」として販売しているので、8%です。

ソフトクリームも8%と10%がある!

軽減税率の対象外(10%)である「外食」は、具体的には、レストランなどの「飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供(食事の提供)」のことをいいます。

では、ソフトクリームのように、お店の前のベンチなどで食べる場合はどうなのでしょうか。

イスやテーブルを設置しているのがそのお店であれば、「外食」に該当するため、税率は10%となることはおわかりかと思います。ドラッグストアによっては、お店の前にベンチを設置しているところもありますよね。あれも当てはまります。

一方、フードコートのように、イスなどの飲食設備の設置者とソフトクリーム(飲食料品)の提供者が違う場合もありますが、こちらはどうでしょうか。

この場合、イスなどを設置している事業者と店舗の間に、「ここで食べてもいい」という合意があるかどうかによって違ってきます。

合意がある場合は、「食事の提供」に該当しますので、税率は10%です。

合意がない場合、たとえば、公園の売店で買ったソフトクリームを、公園内の、売店専用ではなく誰でも利用できるベンチで食べる場合は「食事の提供」ではなく、単に「飲食料品の譲渡」であるため、8%となります。

これはあくまで原則論ですので、個別の対応については、それぞれのお店で確認してください。



一見ややこしい軽減税率制度ですが、仕組みがわかれば、それほど難しくないことがわかるはず。
「どこで買うか」「何を買うか」を意識して、損をしないお買い物をしましょう!

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国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」
政府広報オンライン「消費税の軽減税率制度」