せきが止まらないときはどの漢方?(かぜ漢方2) 【ジャストフィット漢方薬 第5回】

「かぜに効く漢方薬=葛根湯」……だけじゃない! ということで「かぜ漢方」の2回目は、せきが止まらないときのおすすめ漢方薬をご紹介します。

せきに特化した漢方薬ってあるの?
「かぜに効く漢方薬なら問答無用で葛根湯!」というわけではなく、かぜの症状やその人の体質に合わせて選ぶ必要がある、ということは前回でおわかりいただけたと思います。そこで今回は、かぜの症状のなかでも「せき」にフォーカスしてみましょう。以下の漢方薬は、いずれもせきに対応する処方ですが、それぞれ使われる対象(症状)が違います。あなたはどの処方がどんなせきに効くかわかりますか?
【Q】
以下の漢方処方のうち、「たんはほとんどないが、乾いたせきが長引いていてつらい」という人におすすめなのはどれでしょうか?

(選択肢)
1. 鼻炎だけでなくせきにも!? 「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」

2. なんか強そうな 「五虎湯(ごことう)」

3. 冬にはぴったり!? 「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」

気になる答えは……、
  ↓↓↓


【A】
3. 麦門冬湯(ばくもんどうとう)
【解説】
「小青竜湯」は、「せき」よりも「鼻水」のイメージがありますが、効能・効果には、「~うすい水様のたんを伴うせきや鼻水~」とあるように、せきにも対応しています。漢方医学的には、体内に余分な「水(すい)」がたまって、さまざまな不調を起こすとされていますが、サラサラした水のようなたんや鼻水は、その「水(すい)」がのどや鼻から出てきたものというわけです。「小青竜湯」は、冷えた部分を温めて水分代謝を促すことで、そうした症状を軽減するとされます。

「五虎湯」は、粘っこいたんが絡んで出る、ゴホゴホとしたせきに適している処方です。
漢方では、体が熱をもつことで炎症が生じ、こうした症状が出るとされているため、温めると症状が悪化するという場合は、これに当てはまると考えられます。「五虎湯」は、その熱を取り除いて炎症を鎮め、それによってせきを鎮めるとされます。せきが強い場合や気管支ぜんそくなどに効果がある処方です。なお、効能・効果や生薬の組み合わせが似た処方に「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」というものもあります。

「麦門冬湯」は、のどが乾燥し、コンコンと乾いたせきが長引く場合によく使われます。この処方は、体に栄養を与え、粘膜や気道を潤してせきを鎮めるはたらきがあるとされます。たんはそれほど多くないけど切れにくく、からぜきが長引いてなかなか止まらないという人におすすめです。
各処方の効能・効果
●小青竜湯
体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症

●五虎湯
体力中等度以上で、せきが強くでるものの次の諸症:せき、気管支ぜんそく、気管支炎、小児ぜんそく、感冒、痔の痛み

●麦門冬湯
体力中等度以下で、たんが切れにくく、ときに強くせきこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声