下痢に効く漢方薬はどれ!? 【ジャストフィット漢方薬 第8回】

外は暑いからと、クーラーがガンガン効いた部屋に閉じこもり、冷たい飲み物ばかり飲んでいませんか? そんなときに起こりがちなのが冷えに伴う下痢です。今回は、そんな下痢に有効な漢方薬をご紹介しましょう。

「下痢」といってもいろいろある
ひとくちに「下痢」といっても、実はいくつかの異なる要因が考えられ、対処もそれに応じてさまざまです。西洋薬の下痢止めにもさまざまなタイプがありますが、漢方薬はより多様な症状に対応できます。というわけで、今回は下痢に効く漢方薬の問題です。
【Q】
「体力がないタイプで、もともと手足が冷えやすく、クーラーや飲み物などでおなかが冷えて下痢になった」という人に最もおすすめなのは、次の選択肢のうち、どの漢方薬でしょうか?

(選択肢)
1. 軟便・下痢といえば「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」

2. 胃腸トラブルには「人参湯(にんじんとう)」

3. 水様性の下痢には「五苓散(ごれいさん)」

気になる答えは……、
  ↓↓↓

【A】
2. 人参湯(にんじんとう)


【解説】
おなかが冷えると、下痢を起こしやすくなるのは、胃腸が冷えて機能が低下するためです。下痢に対応する漢方処方はいくつかありますが、「冷えやすいタイプで、冷えから下痢になった」という人には、「人参湯」がおすすめです。この処方で使われる生薬の「ニンジン」は、一般に「高麗人参」と呼ばれたりする薬用人参で、体に元気をつけたり、胃腸の調子を良くしたりするはたらきで知られています。この「ニンジン」を主薬に、体を温めるはたらきで知られるショウガを乾燥させた「カンキョウ(乾姜)」などを配合し、冷えやすい人の胃腸症状に対応します。

「半夏瀉心湯」は、「みぞおちがつかえた感じ」があるような、神経性の胃腸症状などに使われる処方です。胸やけやげっぷなどの症状に効くのも特徴でしょう。

「五苓散」は、体力にかかわらず使用できるのが特徴的な処方で、めまいやはき気、頭痛などを伴う水様性の下痢によく使われます。なお、「しぶり腹」と呼ばれる繰り返し腹痛や便意を感じる症状には使用できない点に注意しましょう。
各処方の効能・効果
●半夏瀉心湯
体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

●人参湯
体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎

●五苓散
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹)のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔

※しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののこと。