肩こりに効く漢方薬はどれ!? 【ジャストフィット漢方薬 第6回】

家の中に閉じこもっているとき、皆さんは何をして過ごしていますか? 読書? スマホでゲーム? 細かい文字などを見ている時間が増えると、肩がこってしまうという人も多いのでは? というわけで、今回は肩こりに効く漢方薬です!

漢方薬って肩こりに効くの?
肩こりに効く薬といえば、貼り薬を思い浮かべる人が多いと思いますが、漢方薬には、内服薬で対応できるものがあるんです。「え、知らなかった!」という人も多いかもしれませんね。今回はそんな肩こりに効く漢方薬の問題です。
【Q】
次のうち、「肩こり」におすすめな漢方処方はどれでしょうか?

(選択肢)
1. かぜじゃないのに? 「葛根湯(かっこんとう)」

2. 「葛根湯」と何が違うの? 「独活葛根湯(どっかつかっこんとう)」

3. 女性の症状によく使われる 「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」

気になる答えは……、
  ↓↓↓

【A】
1、2、3すべて



【解説】
実は今回取りあげた処方は、すべて「肩こり」の効能をもっています
葛根湯」といえば「かぜ」と思っていた人は驚いたのではないでしょうか? このように漢方薬には、かぜと肩こりなど、一見まったく関係なさそうな症状に使えるというものも多々あります。このほか、肩こりに効く代表的な漢方処方には「独活葛根湯」がありますが、名前を見てわかるとおり、こちらにも「葛根湯」の成分(生薬)が含まれています。「葛根湯」には体を温めるはたらきがあることから、血行を良くして肩こりの症状に効くというわけです。ただし「独活葛根湯」には、効能にかぜの記載はありません。

また、月経痛や更年期障害など、女性の症状に使われることが多い「桂枝茯苓丸」にも、「肩こり」の効能があります。こちらも血行が滞った「瘀血(おけつ)」と呼ばれる状態を改善して、血行を良くするはたらきがあるとされる処方です。ほかにも、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」など、肩こりの効能をもつものはいくつかあります。

なお、「葛根湯」と名が付く処方に「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」というものもあります。これは「葛根湯」に「川芎(せんきゅう)」と「辛夷(しんい)」という生薬を加えた処方ですが、主に「鼻づまり」や「慢性鼻炎」に対応する処方で、効能に「肩こり」の記載はありません。
各処方の効能・効果
●葛根湯
体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

●独活葛根湯
体力中等度又はやや虚弱なものの次の諸症:四十肩、五十肩、寝ちがえ、肩こり

●桂枝茯苓丸
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。