かぜに効く漢方薬といえば、“アレ”だって思い込んでません!?(かぜ漢方1) 【ジャストフィット漢方薬 第4回】

あなたにジャストフィットする漢方薬をご紹介する当コーナー。今回は、数ある疾患のうち、最もよく使われる疾患といっても過言ではない、かぜのときにおすすめの漢方薬をとりあげます。「かぜにはとにかく葛根湯」と思っているアナタ、ほかにもいい漢方薬があるんですよ!

かぜにはとにかく「葛根湯」って、ホント!?
「かぜ」に効く漢方薬といえば、「何はともあれ葛根湯!」と思っている人が多いかもしれませんね。確かに、「肩こり」や「筋肉痛」などにも対応する、とても優秀な漢方処方ですが、ほかにも店頭には「かぜに対応する漢方薬」として、いくつもの商品が置かれています。漢方では、その人の体質によって、高熱が出るもの、せきがつらいもの、鼻水がつらいもの、かぜの症状に伴っておなかを下すものなど、違った形でかぜの症状が現れるとされ、それらに対応するために、長い年月をかけてさまざまな処方が生み出されてきたからです。今回は漢方薬のなかでもとくになじみが深い、かぜに使われる漢方薬について見ていきましょう。
【Q】
かぜをひいてしまったAさん。そんなAさんにおすすめの漢方処方は選択肢のうちどれになるでしょうか?

(Aさんの症状&体質など)
・微熱があり、汗もかいている
・寒気がする
・体力はあまりないほう


(選択肢)
1. かぜといったら「葛根湯(かっこんとう)」!

2. 熱といったら「麻黄湯(まおうとう)」!

3. よく知らないけど「桂枝湯(けいしとう)」!
気になる答えは……、
  ↓↓↓

【A】
3. 桂枝湯(けいしとう)
【解説】
葛根湯と麻黄湯は比較的体力がある人に使う処方
で、その目安として汗をかいているかどうかということがあげられます。漢方では、かぜのひきはじめには汗が出ず、熱が上がってから発汗する人は体力がある人で、最初から発汗する人は、体力がないとされています。そこで、かぜのひきはじめで汗をかいているAさんには、体力がない人向けに使われる「桂枝湯」が合っているといえます。
なお、数日間微熱が続いたり、軽い悪寒や頭痛などがあったりするかぜの症状や、腹痛や吐き気、下痢をともなう胃腸炎などには、この「桂枝湯」と「小柴胡湯(しょうさいことう)」を組み合わせた「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」という処方が使われます。

次回は、同じかぜでも、別の症状にスポットを当ててご紹介したいと思います。
各処方の効能・効果
●葛根湯
体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

●麻黄湯
体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり

●桂枝湯
体力虚弱で、汗が出るものの次の症状:かぜの初期