夏バテよりつらい? 秋バテの疲れに効く漢方薬は? 【ジャストフィット漢方薬 第3回】

「夏バテ」はよく聞きますが、「秋バテ」もあるってご存知ですか? 人によっては夏バテよりもつらい疲れを感じるみたいですよ。あなたにジャストフィットする漢方薬をご紹介する当コーナー。今回は、そんな秋バテの疲れに効く漢方薬をご紹介しましょう。

なんだかよくわからないこの疲れ、「秋バテ」なの?
「秋バテって初耳」。そんな方も多いのではないでしょうか? 夏が終わって秋にかけて「理由はよくわからないけど、なんだか疲れている」「夏が終わって涼しくなったから夏バテじゃないし……」という人もいるのでは? もしかして、それが「秋バテ」なのかも……。今回はそんな秋バテ(疲れ)に効く漢方薬の問題です。
【Q】
女性に多い「夏の間の冷房で手足が冷えて、秋になってもなんだかだるさが抜けない」という状態におすすめなのは、次の選択肢のうち、どの漢方薬でしょうか?

(選択肢)
1. 「中」って何だ?「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」

2. 見るからに補ってくれそうな「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」

3. こっちも栄養ありそう「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」

気になる答えは……、
  ↓↓↓


【A】
3. 人参養栄湯(にんじんようえいとう)


【解説】
秋バテと呼ばれる疲れにもさまざまありますが、よくあるのは、クーラーなどの温度変化により疲れを感じる「冷房病」です。夏の暑さで食欲がなくなって体力が低下しているところに、さらに追い打ちをかけるようなこうした冷えの蓄積が、体の不調を引き起こすことがあるのです。このため、人によっては夏バテよりもつらい疲れと感じることもあるようです。さらにこの不調は、クーラーによる冷えの蓄積だけでなく、気温が涼しくなってきたことによっても引き起こされることがあります。これが秋バテと呼ばれるものの正体です。

こうした秋バテの疲れにおすすめなのが、「人参養栄湯」です。高麗人参という呼び名でよく知られる「人参」が主薬の漢方処方で、体力が低下していて、手足の冷えなどを感じる人におすすめする処方としてはファーストチョイスといえるでしょう​。その他の処方も「疲れ」におすすめの有名な処方ですが、以下のような違いがあります。

「補中益気湯」は、胃腸のはたらきを助けて、元気を取り戻す処方です。「補中益気湯」の「中」はおなかの中心、つまり胃腸を指していて、「胃腸を元気にして『気』を益す(増す)」という意味の処方名となっています。もうひとつの「十全大補湯」は、文字どおり「完全に大いに補う」という意味があり、漢方で重要とされる栄養分などを指す「気」と「血(けつ)」の両方を補うとされます。効能・効果を見ると、「人参養栄湯」とほとんど変わらないように見えますが、こちらはひどく疲れたときや、病気のあとの疲労など、より疲労の程度が進んだ人におすすめの処方といえるでしょう。また、「十全大補湯」は胃腸が弱っているときには不向きですので、夏に水分の取り過ぎなどで胃腸が弱り、疲れが長引いているようなケースでも「人参養栄湯」のほうが適しています。
各処方の効能・効果
●人参養栄湯

体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後などの体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血

●補中益気湯
体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒

●十全大補湯
体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血