入浴中の急死者数は年間1万9000人!?
寒~い冬に、温かいお風呂に浸かる……なんとも幸せを感じる瞬間ですが、冬のお風呂は気持ちがよい一方で、危険なものでもあります。東京都福祉保健局が2020年10月1日に発表した「東京都23区における入浴中の死亡者数の推移」によると、2019年に東京で入浴中に死亡した人の数は1494人。月別に見ると、半数近く(728人)が12月~2月に集中していました。
また、過去には厚生労働省の研究班が、入浴中の事故死数を年間約1万9000人と推計しています(「入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成24~25年度総合研究報告書」)。こうした冬のお風呂での事故原因として、取り沙汰されるのが「ヒートショック」です。
ヒートショック……だけが原因じゃない?
ヒートショックとは、温度差により血圧が大きく変動することで、体にダメージを負う現象。
たとえば、暖かいリビングから冷えた脱衣所へ行って服を脱ぐと、寒さで体熱を逃がさないように、血管がキュッと縮んで血圧が上がります。さらに温かい湯船に浸かると、今度は熱を放出しようと血管が一気に広がり、急激に血圧が下がってしまうのです。
こうした急な血圧の変動は、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことも。入浴中に失神すると、そのままおぼれてしまう危険がありますし、湯船から出ようとしたときに立ちくらみを起こして転倒し、床や浴槽に頭をぶつけて……ということだってあるのです。
ヒートショックは温度差が原因で起こるため、対策としては「浴室や脱衣所を事前に暖めておき、温度差を小さくすること」「お風呂のお湯の温度を低めにすること」「いきなり湯船に入らず、かけ湯をすること」などがあげられます。
入浴中の事故、とくに高齢者の死亡事故は、メディアなどで繰り返し取り上げられたこともあり、このヒートショックが主な原因だと一般的に考えられています。
ところが、この定説に異を唱えたのが、千葉科学大学 健康管理センター所長の黒木尚長教授です。黒木教授は、2018年に発表した「入浴事故の危機管理:なぜ、入浴事故が起こっているのか」のなかで、
たとえば、暖かいリビングから冷えた脱衣所へ行って服を脱ぐと、寒さで体熱を逃がさないように、血管がキュッと縮んで血圧が上がります。さらに温かい湯船に浸かると、今度は熱を放出しようと血管が一気に広がり、急激に血圧が下がってしまうのです。
こうした急な血圧の変動は、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことも。入浴中に失神すると、そのままおぼれてしまう危険がありますし、湯船から出ようとしたときに立ちくらみを起こして転倒し、床や浴槽に頭をぶつけて……ということだってあるのです。
ヒートショックは温度差が原因で起こるため、対策としては「浴室や脱衣所を事前に暖めておき、温度差を小さくすること」「お風呂のお湯の温度を低めにすること」「いきなり湯船に入らず、かけ湯をすること」などがあげられます。
入浴中の事故、とくに高齢者の死亡事故は、メディアなどで繰り返し取り上げられたこともあり、このヒートショックが主な原因だと一般的に考えられています。
ところが、この定説に異を唱えたのが、千葉科学大学 健康管理センター所長の黒木尚長教授です。黒木教授は、2018年に発表した「入浴事故の危機管理:なぜ、入浴事故が起こっているのか」のなかで、
高齢者の入浴中の事故の大半は熱中症で説明できる
と主張しています。