【自分で選べる漢方word】第2回:「湯」とか「散」とか「丸」とか

ドラッグストアで漢方薬を手に取ってみても、なんか漢字ばっかりで、難しいことが書いてあるし…と、ひるんでしまい、商品をそっと棚に戻したあの日。 そんな思い出にチクリと胸を刺されるあなたも、これを読めば自分で漢方薬が選べるようになります! …たぶん。

目次

ドキッ! 漢字だらけの名前

漢方って取っつきにくい・・・その理由のひとつは、漢字だらけの名前ではないでしょうか?
実を言うと筆者は大学で漢文を専攻したので、漢字が並んでいるとうれしくなっちゃうほうなんですが、まあうっかりそんなことを口に出すとヘンタイを見る目で見られます。漢字かわいいよ漢字、などとがんばってみても、かなり多くの方は漢字がお嫌いだということは、重々承知しております。

そのせいか、最近は漢方薬でも、カタカナの親しみやすい名前をつける商品が増えてきましたね。「ナイシトール」(小林製薬)や「ツラレス」(ロート製薬)なんかがそうですが、パッケージをよく見ると、「ナイシトール」には「防風通聖散」、「ツラレス」には「芍薬甘草湯」と漢字の名前が書いてあります。むしろこっちが本名で、カタカナはいわば愛称です。柳葉敏郎の愛称がジョニーみたいなもんです。

漢方の名前って、同じ字が多い?

さて、この漢方薬の本名ですが、末尾にやたらと「」とか「」とか「」とかついている気がしませんか?
(ただし例外はあります。温清飲とか当帰飲子とか)
実は、漢方の名前の末尾についている字は、その処方が本来、どのような剤形(薬としての形)で飲まれていたのかを表していることがほとんどなんです。
(とう)」・・・煎じた液を飲む、薬湯スタイル。煎じたあとは日持ちがしません。
(さん)」・・・薬研(やげん)などでごりごり粉砕した生薬を、粉末のままお湯や水で飲むダイレクトスタイル
(がん)」・・・生薬を粉砕するところまでは「散」と同じですが、その粉末にハチミツや飴などを混ぜて練り、丸く固める、携帯しやすいハンディスタイル

このうち、「丸」と「散」の場合は、さらに「料」をプラスした「丸料」「散料」と表記されるものがあります。これは、本来「丸」や「散」、つまりごりごり粉砕したものを丸飲みするスタイルの処方を、粉砕せずに煎じちゃったという意味で「」がついているんです。
「湯」はもともと煎じるスタイルなので、「料」がつくものはありません。

とはいえ、ドラッグストアで買える漢方薬の多くは、顆粒か錠剤か液剤(ドリンク)だと思います。これらは、上のどれに当てはまるの? って思いますよね。
顆粒、錠剤、液剤(ドリンク)は、生薬を煎じて抽出した液を、煮詰めたり、乾燥させてインスタントコーヒーのような状態にしたりした「エキス剤」というものからできています。
なので、ほとんどが「湯」か「散料」「丸料」なのです。

たとえば、パッケージの表面に「防風通聖散」と書いてある錠剤でも、パッケージの裏面にある「成分・分量」の欄などに「防風通聖散料エキス」と書いてあるものがあります。
ドラッグストアで漢方薬を見かけたら、ちょっとパッケージの裏を見てみてはいかがでしょうか。