2020年4月23日 更新

「それでは効かない!」エタノール、薄める?薄めない? どっち?

消毒薬として引っ張りだこ、品切れ状態の続くエタノールですが、正しい使い方をご存知ですか?

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エタノールで消毒する。でもその前に確認!

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希釈は水道水で!

テレビなどで、「無水エタノールを精製水で希釈すると消毒用エタノールができる」という情報が流れた結果、「エタノールの希釈には精製水を使わなければならない」という認識にとらわれた人がけっこういたようです。
その結果、精製水の品切れが発生する事態に。

精製水とは雑菌などの不純物を取り除いた水で、無菌でなくてはならない注射剤やコンタクトレンズのケアなどに使用するものです。人工呼吸器などに使用する場合もあり、品切れによって、そういったどうしても必要な人の手に入りにくくなってしまうことも。

消毒薬を薄めるためにそこまでのハイスペックな水を使用する必要はありません。
エタノールの希釈には清潔な水、つまり水道水で十分なのです。
わざわざお金を払って精製水を買うことはありません。
 

薄めずに使える「消毒用エタノール」

さらに悪いのが、「精製水で薄める」という部分だけが独り歩きして、希釈せずにそのまま消毒に使える「消毒用エタノール」を希釈して使用している人もいるようです。
それはまるで、ハイボールをさらに水で割るようなもの。

消毒用エタノールは、濃度をもっとも殺菌作用の高い「76.9~81.4%」に調整しているので、これよりも濃度が薄くなってしまうと、新型コロナウイルスに対する消毒効果が失われるおそれがあります。
“「消毒用エタノール」は希釈せずにそのまま使える”ことをお忘れなく。
 
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じゃあ薄めるのはどれなの?

ドラッグストアなどで、特徴的なボトルに入って販売されている医薬品のエタノールには「消毒用」と書いていないものがあり、それらは濃度が異なります。

「消毒用エタノール(76.9~81.4%)」以外に、「エタノール(95.1~96.9%)」と「無水エタノール(99.5%以上)」となっています。

このなかでもっとも消毒効果が高いのが「消毒用エタノール」の濃度なのです。
濃ければ強いわけではないのですね。
ラベルで濃度を確認して、水道水で適切に薄めて使用しましょう。
 

「メタノール」ってアルコールなの?

エタノールは“アルコール”の一種ですが、市販されているアルコールには「エタノール(別名エチルアルコール)」や「メタノール(別名メチルアルコール)」などがあります。
消毒に使えるのは「エタノール」です。

「メタノール」はアルコールランプなどの燃料用として販売されているもので、人体には有害。間違って飲むと失明するおそれもあります。

メタノールを人体に直接使うのは有害で、消毒作用も期待できないので、注意してください。
 

ところで「IP」って何?

さて、「消毒用エタノール」のなかには、商品名に「IP」が付いているエタノールもあります。
これは「イソプロパノール」という飲めないアルコールの一種を、少しだけエタノールに混ぜていることを表しています。

なぜそんなことをするのかというと、通常の「エタノール」は実は飲むことができるため、酒税がかかっているのです(だからといって飲むのはやめましょう)。

そこで、イソプロパノール(これにも消毒作用があります)を少し混ぜることで「飲めないからお酒ではない」として、税金分をお安く提供できるようにしているわけです。
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ちなみにお酒といえば、厚生労働省は2020年4月10日、医療機関に向け、エタノールの品切れを受けて、代替としてアルコール度数の高いお酒を消毒用に使用することを特例として認めました

それ以前から、医薬品のエタノールの品切れを察知した酒造メーカー各社が70数パーセントのアルコールの販売を開始しています。

厚生労働省がこれらの使用を推奨しているわけではありませんが、希釈も必要ない濃度のものが多く、これらを利用するのもひとつの方法かもしれません(もちろん酒税はかかっています)。
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