高機能目薬が効かない? 【効かない●●買っちゃった!】

「ドラッグストアで薬を買ったけど、全然効かない」という方、それは購入した薬がたまたまあなたの症状に合っていなかっただけかもしれません。ここでは、そんなあなたに、医薬品を買うときのコツをご紹介しましょう。今回は「高機能目薬」です。

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<今回のケース> 目がショボショボ → 複数成分配合の高機能目薬を購入

40代働き盛りのビジネスパーソンAさん。会社では一日中パソコンに張り付いてデータとにらめっこ、通勤の行き帰りや家ではスマホやタブレットを見続けている、という生活…。そのせいか、「目がショボショボする」のが気になり、ドラッグストアで目薬を買うことに。たくさん種類があって、どれを選んでいいかわからないAさんは、「いろいろな成分が入っていて効きそうだし、“目をスッキリさせる”っていう、この高い目薬を買ってみよう」と、価格も高めな目薬を買って帰ります。

ところが、使ってみても良くなるどころか、清涼感が目にしみてより不快に…。何がいけなかったのでしょうか?

<薬剤師からのアドバイス> 「高ければ何でもいい」わけではない

薬剤師:米山 博史

昭和薬科大学卒業後、医療機器系の会社に勤務。ドラッグチェーンに転職し、エリアマネージャー、教育担当として従業員の学術教育を担う。
その後、ネットパイロティングに入社。学術担当マネージャーとして、医薬品販売や薬理・病理に関する4000以上のコンテンツ制作、登録販売者の試験対策教材・外部研修教材などの制作、試験対策セミナーの講師などを務めている。
多くの種類が存在し、どれを選べばいいのかわかりにくいのが目薬。今回のケースでは、自分に合う商品なのかをよく確認せず、価格で決めてしまったところに失敗の原因があるようです。

価格の高い高機能目薬は、さまざまな症状に効くように多種類の成分(や添加物)が配合されていますが、場合によっては、それが別の不快感を引き起こしてしまうこともあるのです。

たとえば今回のケースでいえば、「目がショボショボする」のは目の表面が乾燥している可能性が高く、高機能目薬よりも、角膜を保護する成分を配合した涙液型の目薬が合っています。おそらくAさんは、パソコンやスマホなどを長時間見ることでまばたきが少なくなり、涙液が不足した状態だったのではないでしょうか。涙液不足になると目の表面が傷つきやすくなるため、そこへ添加物「l-メントール」で清涼感を高めた商品を使用したことで刺激になったと考えられます。

そんな方におすすめなのは?

そんな方におすすめなのは、清涼感を抑えた目薬で、「涙液の補助(目のかわき)」の改善に重点を置いた商品です。そうした商品は、パッケージに「目の乾き」「ドライアイ」などと記載されているので、わかりやすいと思います。とくに乾きが気になるという方は、高粘度の薬液を採用した商品もありますから、そちらを選ぶといいでしょう。

医療用から一般用医薬品にスイッチされた「ヒアレインS」(要指導医薬品:参天製薬)。医療用と同成分の<精製ヒアルロン酸ナトリウム>が目の乾きをいやしてくれる

「なみだロートドライアイコンタクトa」(第3類医薬品:ロート製薬)は、コンタクトレンズ装用中の目の乾きに対応する目薬。<メントール>非配合で清涼感を抑えているのも特長
高機能目薬は、目の疲れをはじめとしたさまざまな症状によく効くように作られていて、値段が高いもののほうが効果が高いというのは基本的に間違ってはいません。ただ、今回のケースのように、症状に適した商品を選ばないと、商品が無駄になるだけでなく、別の不快な症状が引き起こされることもあります。

ですから、医薬品の購入時にはまず店頭スタッフに相談して、自分に合った薬をいっしょに探してもらいましょう。このとき、気になる症状をできるだけ詳しく伝えることが、お悩みにあった商品を選んでもらえるポイントですよ!